昨日(2日)は国立演芸場で開かれた「さん喬十八番集成」を聞きに行った。演目と出演者は下記の通り。
柳家小きち 『子ほめ』
柳家やなぎ 『締め込み』
柳家さん喬 『幾代餅』
〜 仲入り 〜
柳家さん喬 『子別れ』(通し)
柳家小きちは柳家さん喬の末弟弟子の前座。まだ21歳の若者で角刈というかスポーツカットが初々しい。小きちは滑舌はしっかりしているが、表現力が今ひとつで、自分のオリジナリティを見出せていない。まあこれが前座というものなのかもしれないが、師匠が師匠だからその糸口さえ見つけ出されば、もっともっと前進するに違いない。ガンバ!
柳家やなぎは柳家さん喬の数多くいる弟子のなかでも、前出の小きちの前の弟子で二ツ目。マクラでは出身地の北海道別海町の話。知り合いに北京オリンピックのスケート選手がいるなど・・・。私は何十年前かに別海町行ったことがある。日本一面積の広い町だとか、人間より牛の方が多いという話は聞いていたが、スピードスケートが盛んな土地とは知らなかった。『締め込み』は泥棒が夫婦喧嘩の仲裁をするという噺だが、やなぎは淀みなくソツにこなす。というより、すっかり手の内に入れているのに驚いた。彼の今後に注目したい。
柳家さん喬は登場するなり、困った顔で「今日は『締め込み』をやるつもりだったのですが、先にやなぎがやりやがって」と言う。しかし、さん喬はこの日の国立演芸場3月上席で『締め込み』を演っている。これはおそらく師匠の弟子に対する愛情のよく出来たぞというサインではなかったのではないだろうか・・・。で、さん喬が『締め込み』の代わりにかけたのが十八番の『幾代餅』。さん喬の『幾代餅』はこれまでに2回聞いているが、なんかいつもより花魁言葉の「くんなまし」が艶っぽく、花魁姿も生々しい。そして、最後の地語りはまるでドラマのナーレーションのような鮮やかさで、拍手喝采を受けていた。
『幾代餅』で50分ぐらい時間を費やしたのに、後半では1時間以上かかる『子別れ』をかける。実はこの日のさん喬師匠は国立演芸場上席(午後1時50分〜)で『締め込み』を掛けた後、浅草演芸ホール(午後3時45分〜)で『長短』を演じている。つまり、『子別れ』はこの日の4席目なのである。それなのに『子別れ』を全く手抜きをすることなく上・下をやり通した。こうなると芸人というより超人である。さん喬、アンビリーバブル!
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