昨年半ばから今年の始めにかけて、3人の知り合いが海外に渡った。理由は様々だと思う。いずれも40代50代で手にしっかりした職を持った人たちである。
外務省の統計では昨年10月時点で日本人の海外永住者は約55万7000人でこれは過去最多の数字だという。ただ、これは永住者だけの数字で、これに75万人以上の長期滞在者がおり、実際は130万人以上、おそらく150万人近い日本人が海外生活をしていると思われる。
それでは、なぜにここまで多くの日本人が海外に渡るのかを考えてみた。
まず第一は日本に対する失望というか閉塞感だろう。少子高齢化で人口減少。加えて、賃金の低さと年金に対する不安。このような日本の状況では将来に対する不信感がつのるのは当たり前である。そんな日本にいるより海外に活路を見出したいと思うのは自然ではなかろうか。
次に時間的な余裕の無さ。日本では仕事をしても、自分を楽しむ時間がほとんどない。文化芸術やスポーツを楽しむ、大自然の空気を楽しむなど人間としての営みに必要な時間を取ることができない。それが海外では普通に取ることができる。海外に行くと空気が美味しく感じるに違いない。
他にも、コロナ禍によってテレワークが可能になったことなどの通信設備の充実、また子供の将来を考えての教育などがあるのではないだろうか。それゆえに、欧米諸国、東南アジアに相対的な魅力を感じる人が増えるているのではないだろうか。
日本人の海外での信用・信頼はとても高い。仕事はきっちりしているし、さしたる不平不満を言わない。つまり、モノ言わない静かな人たちなので、とても重宝がられる。それゆえに、料理や建築などといった腕に覚えのある人の海外での需要は高い。また語学力のある人の需要もかなりある。
ということで、今や転職は国内にとどまらず世界になっているである。しかし、有力な人材が海外に流出することは残念なことである。これではますます日本の生産性は低くなり、GDP、GOTは下がっていき、日本の先進国レベルはどんどん後進国に近づいていくことになる。日本の大胆な政策転換、経済改革がなされない限り、こうした傾向は今後も続くだろう。日本政府の政策の愚かさと、国民の世界情勢の認識の甘さに憤りを感じてしまう。
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