昨日(14日)は赤坂会館で開かれた林家正雀の「林家正雀独演会」を聞きに行ってきた。林家正雀は1951年12月生まれ。71歳。林家彦六最後の弟子であり、師匠・彦六の怪談噺、芝居噺の継承者としても知られている。出演者と演目は下記の通り。
林家彦三 「ぞろぞろ」
林家正雀 「蝦蟇の油」
林家正雀 「質屋庫」
~ 仲入り ~
林家正雀 「お富与三郎~発端~」
林家彦三は林家正雀の弟子の二ツ目。寒さのせいかあまりにも少ない観客に驚いたのか、妙に緊張気味で、まるで稽古をしているかのようで、どこを見ているかのわからない落ち着いていない。それでも、坦々と太郎稲荷にまつわる逸話から髪結いの落ちまで持っていく。う~ん、上手いのかそうなのか判らない。
「蝦蟇の油」というと、時代劇によく登場する路上売りだが、落語ではその口上を聞かせるのと、酔った油売りが失態を演じるという滑稽噺。師匠の林家彦六が得意としていた噺でもあるので、正雀は澱みのない口上とオチを見事に演じる。完全に十八番にしている。
「質屋庫」(「質屋蔵」が正式名称かと)は質屋の蔵に出る楽しいお化け噺。「蝦蟇の油」が熱演だったせいか正雀はこちらは、ゆっくりじっくり聞かせるように話を進める。それはなんか弟子にお手本を聞かせているようにも思えた。
「お富与三郎」というと歌舞伎の演目として有名だが、本来は講釈師乾坤坊良斎の作品。それを講談では一立斎文車が、落語では初代古今亭志ん生が演じて評判を呼んで歌舞伎にもなったという。今回は木更津の親分赤間源左衛門の妾になった深川芸者だったお富と、訳あって木更津に来ていた伊豆屋の若旦那・与三郎の馴れ初めから、お富が入水し与三郎が江戸に送り返されるまでの序章部分。正雀は時折講談調の語り口を交えながらも、お富と与三郎をほのかな色気を交えながら演じていく。聞くうちにこれといった情景描写をすることもないのに、小さな漁村だった木更津の小さな目抜き通りや宿の様相が浮かんでくる。次回は4月6日(木)、楽しみである。
0 件のコメント:
コメントを投稿