木曜日, 7月 28, 2011

映画『大鹿村騒動記』を観る

この映画の感想を一言で述べるならば「笑うに笑えない映画だ」である。

単なる田舎の村芝居を題材にした喜劇ではない。というのも、映画の本質には少し表層的かもしれないが、認知症のような疾患、性同一障害、シベリア抑留などしっかりといろいろな問題提起をしている。ただ、それがあまりのも駆け足すぎるので、重さもなければ深みもない。ただ、それが監督の狙いであろうし、解る人は解るに違いない。

出演者陣はユニーク。どことなく鈴木清順監督の流れを汲むようなキャスティングで原田芳雄、大楠道代、石橋蓮司といった役者陣は安定感があるが正直あまり新鮮味があるとは言えない。しかし、こういった人たちの存在なくしてはこの映画はなりたたない。そして、こうしたベテラン陣に支えられながら光っていたのが松たか子。

松たか子は本当に上手い。こんな子が山奥の小さな村にいるはずはないと思ってしまうが、不思議とこの映画では村にマッチしている。その上、演技が顔や上半身だけでなく全身で行えている。さすがに舞台女優だけのことはある。

最後に、この映画は一律入場料が1,000円。それゆえに、金券ショップへ行っても特別鑑賞券は売っていない。(笑)今日、日本映画では若者離れが深刻らしい。その意味でも、1,000円という価格は嬉しい。ただし、この映画は題材も題材ということと、原田芳雄のことを惜しんで観るくる人が多いせいか、観客の多くはどうみても「いつでも1,000円で映画が観られる」60歳以上だった。(苦笑)

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