土曜日, 8月 24, 2013

10円の将棋セットと縁台将棋

子供の頃、駄菓子屋などで僅か10円で将棋セットが売られていた。将棋駒生産日本一の天童市のものかどうかまでは覚えていないが、箱の中には駒はちゃんと揃っている。しかしながら、将棋盤は四つ折りか八つ折りにされた白い紙だった。もちろん、紙の将棋盤だと使っていくうちに痛んでしまうので、厚紙(当時はまだ段ボールはあまりなかった)に糊で貼付けて将棋盤らしくしていた。

それでも、やはり痛んでしまうので、最後は薄っぺらい板(当時はまだベニヤ板は殆んどなかった)に線を引いて独自の将棋盤を作ったりして、近所の悪ガキたちと将棋をしたものである。ただ、私たちの将棋は将棋盤上に駒が全体の半分ぐらいになったり、王様の位置関係が逆転したりと、子供ならではのヘボ将棋を繰り返していた。

こうした子供のヘボ将棋とは別に、大人たちは縁台将棋というヘボ将棋に興じていた。縁台将棋はおもに夏の夕暮れどきに夕涼みを兼ねながら、お年寄りや暇な商店主たちが町のあちこちで行っていた。私も子供のころに、商店街の路地、風呂屋の軒先などで縁台将棋している姿をよくみかけたものである。また、民家の縁側で将棋をしている姿も垣根越しに見たりもした。しかしながら、今日ではこうした場所では行われることはほとんどなくなり、公園の片隅で行われるぐらいになってしまった。

別に郷愁に浸るわけではないが、こうしたのんびりとした風情はいつまでも残ってほしいものである。

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