それでは、なぜこのようなことが起きたのかと、その要因を突き詰めていくと、使い捨てライターのCR(チャイルド・レジスタンス)機構対応化にあるのではないかと思われる。
以前の使い捨てライターは子供が火遊びをすることによって、多くの火事の原因となった。そこで2011年(平成23年)9月27日からCR機構を持たない使い捨てライターは販売禁止となり、使い捨てライターはどれもが力のいる重いものになってしまった。
このことで、お年寄りたちが仏壇にお線香をつけることが苦労するようになっていった。私の家でも今年の初めぐらいに従来型ライターが底をつき、いくつか新しいものを買ってきたが、母親は結局どれも重すぎて使いこなすことはできなかった。そのために、マッチでロウソクに火をつけてお線香を手向けている。その結果、冒頭のような絨毯の焦げを作ったのである。
今日、以前のような簡単に点火できる使い捨てライターは売っていない。一番軽いライターは注入式のターボライター(写真右)なるもので、これは普通のライターのような火が出るのでなく、ジェット噴射のような火がでるものだが、それでも以前のライターより少し力がいるように思われる。
それにしても、子供の火遊び防止というコンセプトはわかるが、そのことによってお年寄りが困るというのもなにか本末転倒というか釈然としない。火災原因のひとつに仏壇から出火というのがあるが、その多くはロウソクや線香などの転倒によるものだ。その引き金になっているのがマッチや重いライターと考えられないだろうか。おそらくこのことを消防庁は把握しているだろう。
世の中には子供のいないお年寄りの家はたくさんある。重いライターに困っている人がたくさんいる。子供のライター遊びは危険であるが、お年寄りが仏壇用に使う軽いライターも必要である。子供に使うことができず、お年寄りには使えるライターの開発および承認(規制緩和)をぜひとも行ってもらいたい。
追記:ここまで書いたあとに、知人に注入式チャッカマンに、お年寄り向けのものがあることを知らされる。このほかにも、電池式お線香専用着火器「セーフティチャッカ」というのもあるらしい。ただし、いずれも通販か仏具店など売っているぐらいで、コンビニやスーパーで簡単に買えないようである。
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