いつから日本のマスコミは政権や政党の御用機関紙に成り下がってしまったのだろうか。それが顕著になったのは、やはり原発事故からだろう。あの事故によって原発が「政官財学マ」の産物であることが露呈。その結果、先日も書いたが「国境なき記者団」が発表する世界各国の「報道の自由度」ランキングでも、日本は11位から53位へと大転落していった。
もともとマスコミのなかでも、読売新聞(日本テレビ)産経新聞(フジテレビ)日本経済新聞(テレビ東京)の3紙は保守系であり明らかに自民党よりの新聞であった。なかでも、読売新聞は原発を誘致した正力松太郎が社主をしていたこともあり一貫して自民党の御用新聞である。
それでは、なぜ新聞がこのように自民党の御用機関もしくは広報機関であるかといえば、それは子会社であるテレビ局が免許制であり、政権に対してあまり批判的であると、時の政権に行政指導を受けたり免許取り下げという言葉をちらつかされたりするので、ご機嫌取りをしなければならないからである。
こうした外的な理由とは別に内的な理由もある。いまの大手マスコミの平均年収は毎日新聞を除いて1000万円以上と言われ、世間の一流企業の平均年収よりも圧倒的に高い。そのために、働いている人たちにはもはや「在野精神」というスピリットがほとんどなく、「自己保身」「生活第一」といった考えしかない。
20年ぐらい前に西部邁が『マスコミ亡国論』という本を書いたが、その頃からマスコミは政権に利用されるようになり、小泉政権ごろからはそれがあからさまになり、やたら「世論調査」という名の世論誘導が行われるようになった。また、内閣調査室、大手広告代理店、マスコミが世間の裏で連携暗躍しているなどとまことしやか囁かれるようにもなった。
その昔、マスコミで働いている人たちはアブレ、コボレ、クズレのサンレ出身者ばかりと言われ、自由闊達な精神と行動力をもっていた。ところが、今のマスコミは体制擁護、自己保身だけの没サラリーマン化した人たちによる主体性のない媒体へと変貌してしまった。そして、マスコミが政府の御用機関、広報機関に堕落してしまったことが情けない限りである。
このようなテイタラクを続けているようでは、新聞の発行部数は増々減り続け、アメリカで起きていることと同じように、新聞社はいずれインターネット会社に買収されることになるだろう。そうなったら、マスコミはもはやマスコミでなくなるに違いない。
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