水曜日, 12月 25, 2019

キャッシュレス化の裏に隠された事実に注視を

私はアメリカに住んでいたり、海外を旅することが多かったので、以前よりクレジットカードを多用している。種類も三井住友VISAカード、イオンカード、東急カード、JR東日本カードなど全部で7〜8枚は持っていると思う。それゆえに、現金を使うのは飲み屋、コンビニ、タクシーなどに限られていた。ところが、最近は飲み屋やコンビニの支払いはPay Pay、タクシーもSuicaになり、本当に現金を使わなくなってしまった。今月私が使った現金は飲料用自動販売機と床屋(理髪店)代だけである。 

このキャッシュレス化の波、日本は世界ではかなり遅れているようである。北欧のスウエーデンでは2015年の時点で、現金の使用率はたったの2%で、街には店頭に「No Cash」というボードを掲げられた店が多数あるという。今の日本でこんなボードを出している店はほぼ皆無だと思うが、いずれそういう時代がくるのかもしれない。ちなみに日本の現金使用率は80%で先進国(日本はもはや先進国とはいえないかもしれないが)ではダントツの高さである。それだけ日本人は現金好きであり、現金に対する信頼が高い。

さて、今日のキャッシュレス化を促進したのは、言うまでもないが消費税増税に関するキャッシュレス決済に伴うポイント還元制度である。ところが、そのポイント還元の原資(=税金)が不足していることが徐々に鮮明になってきた。

11月22日に梶山経産相は「1日あたりの還元額が12億円余りに達し、このペースが続いた場合、予算は2020年3月末までに400億円ほどが足りなくなる」という見通しを発表した。それが、11月28日には政府御用紙・産経新聞によると「政府が2019年度補正予算案に1500億円前後の追加歳出を盛り込む方針を固めた」と報道している。

つまり、政府(=経産省)はこんなに早いスピードでキャッシュレス化するとは想定できず、自分たちの見込み違いを認めたことになる。しかし、これを想定外とか見込み違いで済ますことができるだろうか。よく自民党政権は野党の新たなる提案に対して「予算の財源はあるのですか」とかなんとかイチャモンをつける。しかし、自分たちが行った消費税増税対策に対しては、すんなり補正予算とかいって不足分を補ってしまう。おかしくないだろうか。それでなくとも安倍政権になってから減らされた予算はいっぱいある。なかでも年金、介護、生活保護などの社会保障費は毎年削られている。

キャッシュレス化することは手間の削減、偽札防止、盗難防止、お金の管理などのメリットはある。その一方で、お金に対する価値の希薄化が心配される。それは政府の仕事内容に対する希薄化にも繋がる可能性もある。キャッシュレスが便利だからといって、その価値およびその裏側に潜んでいることには常に注視しましょう。

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