木曜日, 1月 23, 2020

エースのジョーの訃報には悔しさを感じる

残念なことだが人はいつか必ず亡くなる。当たり前のことなので、少しドライな私は若い人の訃報には驚くが、年配者の訃報には驚くこともないし、悲しむこともほとんどない。それゆえに、Facebookやブログにも弔文もしくは追悼文のような文章を書くことはほどんどない。書いた覚えがあるのは親しくしていただいた劇作家の山元清多さんと高取英さん、あとは友人の亀田義典さんの3人だけではないだろうか。そして訃報に関する思い出話を書いたのも女優の大原麗子さんだけだと思う。

しかし、宍戸錠さんの訃報はちょっとショックであった。すでに86歳ということなので、年齢的には仕方がないのかもしれないがなぜか悔しさが残る。私は宍戸さんとは直接の面識はないが、日活映画やテレビで拝見する彼のスマートさやダンディさに、生意気なことを書くようだがずっと一目を置いていた。

Twitterで作家の室井佑月が「じつはあたし、ゆうちゃん派ではなく、エースのジョー派なんです」といったら宍戸さんに満面の笑みでウィンクしてもらった、というエピソードをツイートしていたが、私も石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎といった主役よりも敵役・悪役の宍戸錠の方が好きだった。


今はあまり敵役悪役を専門にする役者は少なくなったが、以前は悪役といったらこの人という人が何人もいた。成田三樹夫、内田朝雄、戸浦六宏、川合伸旺、古くは山形勲や神田隆(父親の友人)などなど。彼らの多くはインテリであったり、苦労人だったりする。好きこのんで敵役や悪役を演じていたわけではない。悪役はイメージダウンになるから演じ手が少ないので、彼らはプロデューサーたちに拝み倒されてやらざるをえなかった。まあその分ギャラは良かったようだが。

宍戸錠はその意味において悪役ではなく、敵役だったのかもしれない。ただ、敵役や悪役のイメージを覆してくれた俳優だったと思う。昔から敵役・悪役を演る人に悪人はいないというが、宍戸さんももちろん悪人ではなかったし、その立ち振る舞いからして多くの人に愛された人だったと思う。エースのジョーはニヒルでカッコいい男だった。合掌。(一部敬称略)

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