水曜日, 2月 12, 2020

韓国映画がアカデミー賞を取るのは当然の結果

韓国映画『パラサイト』がアカデミー賞作品賞を受賞した。そのことに日本では日本より先にアカデミー賞作品賞を取りやがってと、ネトウヨ的な地団駄を踏んだ輩が結構いると思うが、これはある意味当然の結果である、と私は思っている。というのも、韓国と日本では文化事業に対する行政支援が違いすぎる。
 
日本の文化庁の年間予算は1043億円(国家予算の0.11%)に対して、韓国は2821億円(1.05%)である。一人当たりだと日本は819円で、韓国は5467円と相当な開きがある。ただ、韓国の文化予算の中にはスポーツ・観光も含まれているので、実際の文化予算はその半分程度だと思われるが、それでも国家予算の0.5%以上、一人当たりだと2700円ぐらいになる。
 
そして、何よりも日本と韓国の違いはその予算の増加率の違いだ。日本の文化予算は2003年に1000億円を突破するものの、それ以降ずっと1000億円台(1100億円になっていない)だが、韓国はこの10年間でほぼ倍増している。これだけ国家が文化に対するお金のかけ方が違うのである。
 
こうした違いにより、韓国では文化人が育つ土壌が出来上がり、そのことによって国民が文化芸術に対する誇りを持つようになった。一方で、日本は大企業優先の経済政策ばかりで、文化予算だけでなく基礎医学、基礎工学などの研究費にもお金を出さない。これでは人は育たないし、アカデミー賞のメーキャップ・ヘアスタイリング賞を受賞したカズ・ヒロ(辻一弘)さんのように優れた人材は海外へ流出してしまう。
 
残念なことだが、今の日本の文化予算では10年20年経ってもアカデミー賞作品賞は取れないだろう。

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