先日(11日)はNHKホールで約3年ぶりのオペラ鑑賞をしてきました。演目はベルリン国立歌劇場の『トリスタンとイゾルテ』。音楽はリヒャルト・ワーグナー。演出はハリー・クプファー。指揮:ダニエル・バレンボイム。出演者は下記の通り。
トリスタン:クリスティアン・フランツ
マルケ王:ルネ・パペ
イゾルデ:ワルトラウト・マイヤー
クルヴェナル:ロマン・トレケル
メロート:ライナー・ゴールドベルク
ブランゲーネ:ミシェル・デ・ヤング
牧童:フロリアン・ホフマン
船乗り:パヴォル・ブレスリク
舞台装置(舞台美術:ハンス・シャヴァノフ)は天使が羽を広げて伏せていることをモチーフにした大きな岩のようなセットがあるだけ。これが360度回転することによって、場面場面の情景および情感を表わすようになっている。この舞台美術はシンプルかつシンボライズされていて効果的なセット。ただ、セットがベルリン国立歌劇場用に作られたセットなのだろうから、NHKホールの舞台では広過ぎるので、もう少し袖を幕で切るなりにして舞台を狭くした方がもっと効果が上がった可能性がある。
ストーリーは下記のHPを参照にしていただきたいので、ここでは割愛させていただく。
出演者ではイゾルデを演じたワルトラウト・マイヤーの歌声が素晴らしい。彼女の歌声は知的であり理性のある響きがある。加えて、演技力が高く、目の配り方、顏の動かし方など単に歌を歌っているのでなく、イゾルデという役を見事に演じ切っている。そして、最後に歌う「愛の死」の歌声も透明感に満ちていて観客の視線を釘付けにした上、舞台の最後を優美に終えさせた。
一方、トリスタンを演じたクリスティアン・フランツは歌はいいが、演技がまるっきりダメである。ちょっとメタボリックすぎて動けないのである。舞台装置の傾斜がきつかったりと演じづらいかもしれないが、演者ならば舞台装置に対応するぐらいの力量がなくてはならい。いくらオペラだからといって、その甘えは現代では通用しない。オレは歌うだけというオペラ歌手は舞台に立つ資格はない。
観客をもっとも魅了したのはマルケ王を演じたルネ・パペであった。彼の伸びのあるバスは非常に緊迫感があり、舞台に緊張感を漂わせてくれる。できれば、彼にトリスタンを演じてもらいたかったと思うのは私だけではないだろう。
さて、音楽についてだが、ベルリン・シュターツカペレは第1幕や第2幕では結構外していた。第3幕でなんとか持ち直したが、バレンボイムはこのオーケストラに本当に満足しているのだろうか。
http://www.nbs.or.jp/berlin2007/detail02_top.html
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