水曜日, 10月 24, 2007

クラシック音楽を聴くようになったキッカケ

最近「どうしてクラシック音楽を聴くようになったのですか」とよく聞かれる。大概「まあ、歳をとったからでしょう」と答えているが、この答えはあながち間違いではない。

私は幼稚園の頃から小学校5年までピアノを弾いていた。といっても「バイエルン」「ツェルニー」程度で、有名な曲では「エリーゼのために」「乙女の祈り」が限界で、ショパンやシューベルトの名曲を弾くことはできませんでした。そして、小学校5年のときにクラシック音楽しか教えてくれない先生(この方は陸軍軍楽隊出身で『加藤隼戦闘隊』の作曲者の一人)に反発して、なぜかフルートを始めました。

そして、中学に入ると部活(バスケット部)が忙しくなり、先生に通うことは辞めてしまいまったが、吉田雅夫(フルートの大先生)の本を参考にしながら、独学でフルートを吹くようになりました。と同時に吹く曲はクラシックよりポップスが主体になり、ビートルズのメロディを好んで吹いていました。他にも、友人が組んでいるフォークバンドに参加させてもらったりして、それなりにフルートを楽しんでいましたが、ピアノはその頃から弾くことはなくなってしまった。

このようにクラシックを聴く土壌は小さい頃に培われていました。でも、実際にオーケストラを聴くようになったきっかけは、30代にたびたび仕事で訪れたニューヨークです。

私はガイドブックの仕事をしていたので、80年代半ばから90年代前半まで毎年取材のために、2週間から1ヶ月半ぐらいニューヨークに滞在していました。昼間は観光スポットやレストランの取材、夜はミュージカルやストレートプレイ、そしてベースボールなどのライブに毎晩のように出かけていました。今思えば「よくもまぁ」という感じです。全くバブルの時代でした。

ということで、クラシック音楽を聴きに行くのもさほど時間がかかりませんでした。カーネーギーホールやリンカーンセンターまでは定宿にしていたホテルから歩いていける距離にあり、当時はチケット料金もさほどは高くなかったので、気軽に聴くことができました。亡くなる前のレナード・バーンスタインやズビン・メータの指揮するニューヨーク・フィル、リカルド・ムーティ指揮のフィラデルフィア管弦楽団、クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮のクリーヴランド管弦楽団、ゲオルグ・ショルティのシカゴ交響楽団と、この頃にアメリカ5大オーケストラのうち4つを聴いています(残りのひとつは小澤征爾のボストン交響楽団)。他にもレナード・スラットキンのセントルイス交響楽団、シャルル・デュトワのモントリオール交響楽団なども聴きに行った。

こうした恵まれた環境にいたこともあり、91年には少し図に乗ってミュージカル、クラシック、映画など文化と施設を紹介した『New York Culture Book』(弓立社)という本まで出してしまいました。若気のいたりとはいえ、よく作ったものと我ながら感心します。

バブルが崩壊した後は、なかなかクラシックを聴くことはできませんでしたが、2003年ぐらいから、再びボチボチと聴くようになりました。それは少し時間的余裕ができたからでしょう。クラシック音楽を聴くようになったキッカケは、やはり歳をとったからという答えに間違いはないようです。

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