水曜日, 10月 31, 2007

手近な代替エネルギーはやっぱり石油

世界の原油価格の指標となるWTIの先物取引価格が1バーレル90ドルを越して、100ドルになるのも時間の問題と言われている。これはドルがユーロや円に対して連日安くなっていることが最大の理由だが、その他にもトルコやイラクなどの中東情勢の不安も材料になっている。

こうしたなかで、新聞の報道によると、11月からの石油製品の値上げをにらみ、各地の灯油販売店には冬に備えて灯油を買い込んでおこうとする人たちが相次いでいるという。埼玉のホームセンターでは、開店直後からポリタンクを持った客が次々と訪れ、この日の売り上げは前日の4倍になったという。

こうも原油高になると、すぐに石油の代替エネルギーとしてエタノール、水素ガス、太陽電池などが話題になるが、私はもっとも良い石油の代替エネルギーは石油だと思っている。その石油は石油でも油田から採れる原油ではなく、主に露天掘りされるオイルサンドである。

オイルサンドとは重質油を含んでいる砂のことであり、世界全体に約2兆バレルの埋蔵量があると推定されている。そのほとんどがカナダとベネズエラに集中してて、なかでもカナダ・アルバータ州にはサウジアラビアの原油埋蔵量に匹敵するほどオイルサンドが存在といわれてい。このことから、アルバータ州の州都エドモントンはカナダのオイル・シティと呼ばれている。

オイルサンドから1バレル(159リットル=42ガロン)の原油生産をするには、1〜2トンのオイルサンドが必要になる。そして、そのオイルサンドから砂などの成分を取り除くために生産コストが以前はかなりかかった。しかし、現在ではいくら高くても1バーレルあたり40ドル以下と見られているので、原油価格が高騰している今日では十分に採算がとれるのだから、その生産性をアップすることは可能であろう。そして、今後技術改良が進めばさらに安くなるのではないだろうか。

ただ、このオイルサンドからできる石油(ビチューメンという)は重油質なためにガソリンにはあまり向いていない。しかし、船や航空機の燃料、機械やボイラーなど産業には向いているので、その生産性を早急にあげてもらいたい。ちなみに日本の企業では鉱業会社や商社がカナダでこのオイルサンド開発に力をいれている。そして、昨今では韓国や中国の公社企業も開発に参加しているので、日本はもっと力を入れないと、もっとも手近な代替エネルギーを失いかねないと、私は懸念している。

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