小学生の頃、夏休み前になると担任の先生が「夏休み、田舎へ帰る人は?」と毎度のことながら声を上げていた。この「田舎へ帰る」という意味は、生まれところだけでなく、両親の出身地に一緒に帰省をするという意味である。当時、東京居住者の東京生まれの東京育ちは2〜3割程度しかいなかったので、小学校ではこうした言葉は普通に使われていた。
私はその「田舎へ帰る」という言葉が嫌いでもあり、羨ましくもあった。私の両親は父親は渋谷区生まれだし、母親は台湾生まれといえどももそれは祖父の勤務先であっただけで、基本的に東京出身者であるので、帰省するところはなかった。それゆえに、「夏休み、田舎へ帰る人は?」という先生の問いに、元気よく「は〜い」と答えることはできなかった。
あれから50年以上。現在の東京生まれの東京育ちは4割近くになり、もはや小学校で「夏休み、田舎へ帰る人は?」などという教師はいないと思うが、今年はその田舎どころか、何処へも行くことすらままならない。まさかこんな時代が来るとは・・・。
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