月曜日, 8月 31, 2020

ネトウヨが暗躍したPCR検査抑制論

8月8日付の『赤旗』でイギリスのキングス・カレッジ教授の渋谷健司(公衆衛生学)が「(PCR)検査抑制の議論は日本独特のもので私もびっくりしています。もちろん完璧な検査はありません。しかし、安全な社会経済活動のために感染者を見つけ保護するのは国際的には当然のことなのに、医療界と厚労省自らが世論を真っ二つにするような間違った議論を続けています」と述べている。

つまり、PCR検査抑制論は日本だけということである。ではなぜこのような抑制論が出てきたかといえば、厚労省と文科省の連携の無さというか縄張り争い、専門家会議のクラスター対策重視方針だったり、厚労省の医系技官らがPCR検査の精度の懐疑性を主張したりと、様々な事柄から日本ではずっとPCR検査が拡充されてこなかった。

こうした状況のなかで暗躍したのがネトウヨである。2月半ばごろ、国会で安倍晋三はPCR検査の拡充を約束した。しかしながら、上記の厚労省、専門家会議、医系技官、感染研などが検査拡充すると医療崩壊を起こすと反対した。その片棒を担いだというか、裏で際立った反対運動を起こしたのはネトウヨである。

2月中旬ごろから池袋大谷クリニックの大谷義夫医師はテレビに何度も出演してPCR検査の拡充を訴えた。ところが、その後彼のクリニックには無言電話がかかってきたり、「政府批判」「反日」といった電話などが殺到した。また、SNSでPCR検査拡充を訴える人や書き込みに対して、「PCR真理教」「コロナ脳」「PCRは反日」などと揶揄や誹謗中傷、はたまた「検査キットは中国製」とヘイトまがいの投稿が相次いだ。もちろん、こうした投稿はみんな匿名の者ばかりである。そして、4月から5月にかけての緊急事態宣言の期間も現場の医師や医師会などがPCR検査の拡充を訴え続けているなかでも、こうした投稿は続いた。

ところが、このところ橋下徹と同じようにテレビでPCR検査に否定的な発言をしてきた太田光やつるの剛士らがPCR検査を受けていたことにより、もはやネトウヨもPCR検査を否定することはできなくなってしまった。また、安倍は辞任会見でPCR検査能力の抜本的な拡充をあげ、冬までに1日20万件の検査体制を目指すとした。これでネトウヨの息の根が止まればいいのだが・・・。

それににしても、なんで辞任会見の場で検査体制の拡充なのかと言ったのだろうか。その最大の理由は東京オリンピックだ。オリンピックを開催するにあたっては世界に通用するPCR検査体制がなければ開催は無理と判断をしたのだろう。遅きに徹した判断というか、安倍辞任の悪あがきでもある。

何度も書いてきたが、PCR検査の拡充で陽性になった人には陰性になるまでしっかり養生してもらい、その間に陰性者がしっかりフォローしながら社会を回していけばいいのである。冒頭の渋谷教授の「安全な社会経済活動のために感染者を見つけ保護する」が必要なのである。PCR検査の拡充なくして経済活動の回復はありえない。無用な論争はやめて日本も世界基準で対応すべきである。

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