昨日(25日)は日本橋劇場で開かれた「新装開店第1回柳枝百貨店」を聞きにいってきた。演目は下記の通り。
金原亭駒介 「金明竹」
春風亭柳枝 「寝床」
〜 仲入り 〜
春風亭柳枝 「徂徠豆腐」(ネタ下ろし)
開口一番、前座の金原亭駒介は金原亭馬生の弟子。ちょっと愛嬌のある顔立ちとこれまたちょっと愛嬌のある語り口。「金明竹」は長ゼリフの言い立てがハイライトの噺だが、駒介はそこへ行くまでに笑いのツボを押さえて話す。華やかさや派手さはないが、基本をしっかり教えられているようなので将来が楽しみ。
春風亭柳枝のマクラは今年亡くなった柳家小三治師匠、川柳川柳師匠らの思い出話。特に川柳師匠に関しては話を進めるうちに裏話や危ない話も続出。ある意味川柳師匠の人間性がよくわかり落語家ならではの追悼になっていた。さて「寝床」は大家の旦那が下手な義太夫を披露する顛末をする噺。柳枝はこの噺を正太郎時代から得意としているが、今回は明らかにバージョンアップ。特に小間使いの繁蔵の抑揚の変化が大きく滑稽さが俄然広がる。
マクラは週刊朝日の連載を終える山藤章二の「ブラック・アングル」の話。ネタ下ろしの「徂徠豆腐」は入船亭扇辰が得意としている噺。柳枝と扇辰師匠は地元が一緒なので、ひょっとしたら教わったのかもしれない。「徂徠豆腐」は豆腐屋の上総屋七兵衛と貧乏浪人・荻生総右衛門(後の徂来)の豆腐とおからにまつわる人情噺。この噺を柳枝は導入部は自然に入り込ませ、七兵衛と総右衛門の掛け合いは緊張感を持たせ、七兵衛と髪さんの掛け合いは脱力感を持たせ、最後は心優しく盛り上げる感じで、しっかり起承転結を完結させる。お見事。