水曜日, 2月 04, 2009

京の冬の旅・美食日記(烏丸仏光寺 桜田)

京都滞在2日目の昼食は、いま京都でもっとも女性客に人気がり、なかなか予約が取れないと言われている料亭「桜田」へ行ってきた。「桜田」は滋賀県東近江市にある料亭「招福楼」の神戸店料理長を務めた桜田五十鈴氏が1988年(昭和63年)に開いたお店である。

お店は四条烏丸から南へ少し行った仏光寺通を東へ入って一筋目を南へ下がった左側(東側)にひっそりとある。店内はカウンター席が8席、テーブル席は4人掛けが3卓、2人掛けが1卓、その奥に6〜8人に入れそうな座敷が一つある。テーブルの席の部屋には、先代吉兆(故・湯木貞一氏)が開店祝として贈った「味道是茶道」という書が飾ってある。ちなみに、この年に先代吉兆は数えで88歳となり、料理界初の文化功労者となった。

この日は京都の知人(女性)と打ち合わせを兼ねた食事だったのだが、出てくる料理は下手な打ち合わせなどしていられるようなものではなく、もう料理以外の話などできようもない品々のオンパレードであった。

我々が訪ねた日はちょうど旧正月(1月26日)ということで、最初の付け出しには写真のように「立春大吉」の書かれた和紙(この紙をなんと呼ぶの?)が飾られていた。季節感を大事にしているご主人の心憎いばかりの配慮に感服の極みである。この付け出しを皮切りに出て来た刺身、煮物、お椀などはどれをとっても逸品で、すべてが驚愕の品々であった。

なかでも、我々を虜にしたのが、お吸い物であった。まずお椀の美しさ。輪島塗のような高級そうなお椀。その蓋をあけると漂ってくるのは山椒の香り。お吸い物のなかには新春の筍に鮮やかな色をしたワカメ。そして、吸い物のお味はなんというか優しいまろやかな味。いったいこれは何のダシだろうか・・・。このお椀ひとつだけでも、目で味わい、香りで味わい、舌で味わうと一品でいくつもの味わいを楽しむことができる。

デザートの後に最後にもう一度お茶が出される。つまり、お茶で始りお茶で終わる。掲げられて「味道是茶道」の通りのコースになっている。店主の桜田さんの季節感を大事にした繊細にして優しい味は女性客だけでなく、私のような飲兵衛をも引きつける。次はぜひとも夜のコース料理をゆっくりと味わってみたい。

桜田
京都市下京区烏丸仏光寺東入ル一筋下ル匂天神町
電話番号075-371-2552(要予約) 火曜定休
午前11時30分〜午後1時30分(ラストオーダー)
午後5時〜午後7時30分(ラストオーダー)
料金は昼は5000円から、夜は10,000円から(カード不可)

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