月曜日, 3月 30, 2015

牡蠣は春が一番

一昨日はお花見のあとに行きつけの店で小学校時代の友人とその連れ合いによる6人で牡蠣パーティ。牡蠣は私が被災地支援で知り合った岩手県山田町の牡蠣養殖業者の人から直送していただいた。

最初は生で3個。次に炭火焼きで2個、それから、パスタで2個。他にも生ハムサラダやカニクリームコロッケなどを食べる。牡蠣はめちゃくちゃにクリーミーで濃厚。誰もがその美味しさに驚嘆。食べ残った牡蠣はオイル漬けにしてもらい、また1〜2週間後に個人的にいただく予定。(^_^)

さて、牡蠣というと冬というイメージがあるが、これはちょっと間違いかもしれない。山田町の牡蠣養殖業者の人も「三陸の漁師の間では冬より春と言う感じです。私も地元の水産加工業者と手を組んで春カキの販売に力を入れているところです」と連絡があった。どうやら牡蠣の旬(特に殻つき牡蠣)は3月下旬(20日ぐらい)から4月上旬(10日ぐらい)までではないだろうか。

牡蠣はお花見の季節にマッチする。牡蠣は春が一番だ。

土曜日, 3月 28, 2015

『編笠十兵衛』を読む

『雲霧仁左衛門』に続いて上下巻の長編『編笠十兵衛』(作:池波正太郎)を読んだ。

この本は忠臣蔵外伝である。忠臣蔵外伝というのは四谷怪談をはじめいくつもあるが、これはちょっと奇妙な構図の外伝だ。というのも、主人公の月森十兵衛は幕府隠密でありながら赤穂浪士を助勢するというものなである。

元禄年間、江戸城・松の廊下での浅野内匠頭が吉良上野介に刃傷沙汰を起こす。それに対する徳川綱吉の喧嘩両成敗ではない誤った裁断を正すために、幕府の“密命”をおびた旗本の中根正冬の家人・月森十兵衛はいろいろ画策をして赤穂浪士の討ち入り準備の手助けを行う。その間に十兵衛も吉良家の警護をする浪人たちと何度か死闘を繰り広げる。

話はざっとこんな感じである。で、面白いかというとさほどではない。池波正太郎の流麗な文章のためにスラスラと読めるが、主人公の心のうちがうまく描かれているとは思えないし、浅野家側の奥田孫太夫や吉良家側の浪人たちの描写も甘い感じがする。結局のところ、幕府隠密が赤穂浪士側に立つという滑稽なストーリーを重視しただけの物語なのかもしれない。ただ、この話はドラマにすればもっと細部を描くことができそうなので、いつの日にかぜひともBS時代劇に登場してもらいたい。

火曜日, 3月 24, 2015

2015年プロ野球無責任順位予想

27日(金曜)にプロ野球が開幕する。それに先立ち恒例の無責任順位予想。その前に昨年の結果と予想(  )を記しておく。パリーグはかなり外したが、セリーグはそれなりに当たりといってもいい予想結果であった。

2014年の結果と私の予想

パシフィック・リーグ
  1位 福岡ソフトバンク(1位)
  2位 オリックス(6位)
  3位 北海道日本ハム(5位)
  4位 千葉ロッテ(4位)
  5位 埼玉西武(2位)
  5位 東北楽天(3位)

セントラル・リーグ
  1位 読売(1位)
  2位 阪神(3位)
  3位 広島(2位)
  4位 中日(6位)
  5位 横浜DeNA(4位)
  6位 東京ヤクルト(5位)

さて、今年(2015年)の予想である。

パシフィック・リーグ
  1位 福岡ソフトバンク
  2位 オリックス
  3位 千葉ロッテ
  4位 東北楽天
  5位 北海道日本ハム
  6位 埼玉西武

セントラル・リーグ
  1位 広島
  2位 阪神
  3位 東京ヤクルト
  4位 読売
  5位 横浜DeNA
  6位 中日

パリーグ。1位は今年も福岡ソフトバンク。オープン戦での防御率1.84は素晴らしい。2位は大型補強をしたオリックス。本当はオリックスを1位にしたかったが、大黒柱の金子が万全ではない状態では優勝は無理。3位は若返りを図っている千葉ロッテではないだろうか。東北楽天は監督がデーブでは期待薄なので今年はBクラス。北海道日本ハムと埼玉西武はプラス要素がほとんどないので今年もBクラスだろう。

セリーグ。1位は黒田が戻ってきた広島。黒田、前田、大瀬良、野村、ジョンソンと先発投手が揃った。しかし、攻撃陣はかなり非力だ。そのために、鳥谷が残留した阪神が優勝してもおかしくない。広島と阪神が首位争いを演じるだろう。巨人は高齢化していて若手が育っていない。加えて投手陣もパッとしていない。それゆえに、東京ヤクルトがAクラス入りするチャンスが十二分にある。横浜DeNAはオープン戦が好調だったが選手層が薄い。中日も同様である。

ということで、優勝はパリーグは福岡ソフトバンク、セリーグは広島もしくは阪神と予想する。競馬のオッズに例えるならば、この組み合わせはソフトバンク&広島なら2.2倍ぐらい、ソフトバンク&阪神なら2.5倍ぐらいのオッズではないだろうか。w

水曜日, 3月 18, 2015

舞台『藪原検校』を観る

昨日(17日)世田谷パブリックシアターで上演されている舞台『藪原検校』(作:井上ひさし)を観てきた。演出は栗山民也。配役は下記の通り。

 杉の市(後の二代目藪原検校):野村萬斎
 お市 ほか         :中越典子
 語り手役の盲太夫      :山西 惇
 将軍補佐役松平定信 ほか  :大鷹明良
 兇状持ちの倉吉 ほか    :酒向 芳
 塩釜座頭・琴の市 ほか   :春海四方
 魚売り七兵衛の女房 ほか  :明星真由美
 強請られる寡婦 ほか    :家塚敦子
 強請られる寡婦の娘 ほか  :山﨑 薫
 魚売り七兵衛 ほか     :辻 萬長
 ギター奏者         :千葉伸彦

『藪原検校』は70余本ある井上ひさしの戯曲のなかでも最高傑作の呼び声も高い。私も数多くのこまつ座の芝居を観劇したり、井上ひさしの本を読んでいるが『藪原検校』『雨』『化粧』の3本がお気に入りである。なかでも『藪原検校』は1973年の西武劇場での初演を観ていることもあり、思い出も思い入れも深い。

物語は産まれながらにして盲目、そして悪漢になっていく杉の市の28歳の生涯を描く。江戸享保年間、魚売りの七兵衛(辻萬長)は女房(明星真由美)のお産の費用を工面するために、盲人を殺して金を奪う。ところ、生まれた赤ん坊は盲目で後の杉の市(野村萬斎)だった。その杉の市も師匠である琴の市(春海四方)やその女房(中越典子)を殺してしまう。そして、江戸に上がった後も悪漢ぶりを発揮して、最後は師匠を殺し、若干27歳の若さで検校の座につく・・・。

演出の栗山民也は初演の演出を手がけた木村光一の弟子にあたり、おそらく初演時にも舞台に関わっていたのではないだろうか。それゆえに木村演出を彷彿させるものがある。ただ、全体的に暗黒的モノクローム感は漂わせず、意外に色彩感のある演出という感じに見受けられた。それは、主役の野村萬斎が陰湿な悪漢という感じではなく軽快な悪漢という演技のせいもあるのかもしれない。そのためか、舞台は意外に飄々と展開していく。

演劇は時代を映す鏡のひとつでもあるが、この芝居を見ていると何もかもがパソコンやスマホで終わってしまい、川崎の少年殺害事件のように簡単に人を殺してしまう現代社会を表しているようにも見える。また、金にものをいわせて検校の座につく主人公を見ると、今なお続く「政治とカネ」の問題も思いうかべてしまう。やはり井上ひさしの時代を観る目は鋭い。

出演者では語り部を演じた山西惇、重要な役回りである魚売り七兵衛、塙保己市、首斬役人などを演じた辻萬長、8役を演じわけた大鷹明良ら男優陣の健闘が光る。藪原検校はこれまでに初演の木村演出では高橋長英が、新橋演舞場では中村勘九郎(後の勘三郎)が、蜷川幸雄演出では古田新太が、そして栗山演出では野村萬斎が演じている。次は誰が演じるのであろうか。

水曜日, 3月 11, 2015

「防ぐ」より「逃げる」という認識を

3月11日。
あの日から4年たった。
誰もがあの日のことを覚えていると思う。
忘れように忘れらない日である。

一昨日の朝日新聞朝刊1面には「被災地 続く人口減」と大見出しが打たれ、沿岸39市町村で約92,000人が地元を離れたと伝えている。ただし、この調査は住民票や不動産取得などをもとに調査したもので、実際はおそらく10万人以上の人口減になっていると思われる。

このように多くの人が震災および原発事故のために町を出ざるをえなくなった。この最大の理由は被災によって仕事が減少したこと、また交通機関が不便になったことなどがあげられるだろう。そして、もちろん放射能の危険性もある。

こうしたなかでも、復興に力強く挑んでいる人たちはいっぱいいる。震災から半年後にボランティアで現地を訪れたとき、この復興への闘いは5年10年、いやそれ以上かかると感じた。実際、現地では未だにまったく手付かずの場所もあるという。これは仕方がないことなのかもしれない。とにかく、何年かかろうとも産業の振興を伴った復興を実現してもらいたいと願うばかりである。そのために、今後も以前より繋がりのある個人や団体およびクラウドファンディングを通じて支援していきたいと思う。

また僭越かもしれないが政治的な声も今後続けたい。特に高い防潮堤を作ることには反対の声をあげ続けたい。なぜならば、防潮堤ができると海を見る機会が少なくなり、海の豊かさや有難さ、そして恐さを希薄にさせてしまうからだ。現地に行ったときも多くの住民が高い防潮堤には反対していた。防潮堤を作ることも大事だが、まずは先に避難路の確保、そして高台へ通じる道路の拡張などを優先するべきだ。津波に関しては今は「防ぐ」ということより「逃げる」という認識の方を大事にするべきだと私は信じる。そうした安全意識および体制が確立されれば、復興はもう少し早く進むのではないだろうか。

写真上:周囲の建物がすべて流された陸前高田駅近く
  中:津波で流されてきた燃料で焼けただれた大槌小学校
  下:いち早く牡蠣養殖を復活させた山田湾


火曜日, 3月 10, 2015

美食日記「ア・ニュ」(広尾)で母親の誕生日祝い

母親の誕生日は2月21日。しかしその頃は外はまだ寒いので、例年誕生祝いは3月に行っている。今年は私のお気に入りのお店「ア・ニュ」で。そして、この日いただいたコース料理「メニュー ソロ」は下記の通り。

・アミューズ
・縮み法蓮草のフリット 大地の香り
・アオリイカのセヴィーチェ
・鮟肝と生ハムのゼリー
・ホワイトアスパラガスのフリット
・フォアグラのリゾット
・カキとアーサーを乗せて蒸し上げた金目鯛 ブールブーランソース
・青首鴨、猪、鹿、フォアグラのカイエット
・チーズの盛り合わせ
・オリーヴオイルのブランマンジェ
・桜のスフレ 抹茶のアイス
・食後のお飲みものと小菓子

アミューズはアニュお馴染みの穴の空いた大きな皿に自分なりに小鉢をおいて楽しむという形式。今回はブロッコリーソースで食べる人参の形をしたクッキーなど3点。ブロッコリーソース(ムース?)はアミューズに出されるのがもったいないぐらいの美味しさ。

 

「縮み法蓮草のフリット」は縮み法蓮草の根っこと茎部分を使って、菊芋のピュレを塗りまぜた上から土に見立て黒トリュフが散りばらめて大地の香りを表現している。味はサクサク感としっとり感を同時に楽しむといった感じ。「アオリイカのセヴィーチェ」のアオリイカは普通に切られているのではなく、一枚の身を三枚下ろしならぬ3〜4枚にスライスしてから細切りにするという職人技。このために、お刺身で食べるようなコリコリ感はなく、イカが泳いでいるような浮遊感がある変わった味。昨年ここで食べたキャビアのコースのときにも感じたが、シェフの下野昌平さんはこうした浮遊感のある味わいを出すのが上手い人だ思う。

 

「鮟肝と生ハムのゼリー」は浮遊感から一転、ちょっと重厚感のある料理。ゼリーは生ハムの香りを移したたものとのこと。鮟肝の下にはタケノコや人参なども入っていて、そのバランス感覚はエレガンスにして絶妙。「ホワイトアスパラガスのフリット」はサラっと揚げてあり、それをちょっと変わったソース(オランデーズソースではない)で食べるという趣向。サクサク感と優しいしっとり感を楽しむことができる。で、ここでお皿がこれまでと異なることに気がつく。このお皿はシェフが仕事で石垣島を訪れたときに気に入ったものらしく、クリスタル感のある艶やかな色合いで出来ている。

 

「フォアグラのリゾット」のリゾットはお米ではなくスペルト小麦。ということで、ここでもファグラのうるおい感と小麦のサラっとした食感の違いを楽しむことができる。「カキとアーサーを乗せて蒸し上げた金目鯛」は白眉だった。金目鯛の美味しさを崩すことなく、カキとアーサー(海草)が海の香りを一層引き立てくれる。また、ブールブーランソース(エシャロットで出来ている)も実に美味しい。最後はパンで綺麗にお皿をクリーンにしてしまった。

 

「青首鴨、猪、鹿、フォアグラのカイエット」。カイエットとは細かくした肉などを野菜で包んで焼いた料理のことらしく、今回はミンチした青首鴨を主体に白菜で包んでいる。食べた瞬間はちょっと鹿の味が強いと感じるものの、次第に鴨や猪の味わいも分かるようになり、少し風変わりなジビエ料理を味わった思いであった。

 

お菓子に関してはいつもながらよく解らないのだが(作った人、ごめんなさい)、「桜のスフレ 抹茶のアイス」はしっかりした桜の香りが含まれていて、抹茶の苦味が効いたアイスとマッチしていてとても美味しかった。コーヒーと一緒に出てきた小菓子はちょっと甘めのナッツのメレンゲと円やかなエル・ブリ風のゼリー。

私がア・ニュを好きな理由は斬新な食感を楽しむことができるからだ。それは多彩な味覚だけでなく、嗅覚、触覚、視覚そして時に聴覚を感じえることができるからだ。今後も五感を大事にした料理を提供していただきたいと思う。また、今回は母親に配慮していただいたとメニューを出していただいたことにも感謝したい。それにしても、91歳の母親は元気だ。なんでもペロリと食べる。そして、最後の誕生日祝いのプレートにもお喜びの様子であった。

ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー
http://www.restaurant-anu.com/jp/index.html

ア・ニュフレンチ / 広尾駅恵比寿駅

夜総合点★★★★★ 5.0


月曜日, 3月 09, 2015

『雲霧仁左衛門』を読む

『雲霧仁左衛門』は現在BS時代劇で放送中。原作は池波正太郎の同名小説で1972年から1974年にかけて「週刊新潮」に連載された。私はこれまで池波の『剣客商売』シリーズなどを読んでいたが、これはまだだったので、いい機会だと思って読んでみた。

上下巻1300頁余の長編。ただし、読み始めるとすぐに話に没入することができ、1週間で読み終えることができた。前編は雲霧一党が名古屋の薬問屋の金蔵を襲う話で、雲霧一党を主体に書かれている。一方、後編は名古屋で煮え湯を飲まされた火付盗賊改を主体に書かれている。

結末では雲霧仁左衛門の正体などが明かされるものの、尾張藩隠密と関口雄介の関係や、そもそも関口とはいかなる人物(テレビには出てこない)かなど謎も多く、仁左衛門の行方も明かされることはない。

このようにちょっと消化不良というか、完結することなく余韻を持たせて終わるのは小説の常道ではあるが、でもやはりその結論を知りたくなってしまう。しかしながら、池波正太郎は1990年に江戸に旅立ってしまった。

BS時代劇 雲霧仁左衛門2
http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/kumokiri2/index.html