月曜日, 5月 29, 2017

『みをつくし料理帖』(高田郁)を完読

約ひと月かけて『みをつくし料理帖』(著・高田郁)【10巻】を完読した。

時代は文化年間(1804年〜1818年)の江戸。大阪から江戸に来た主人公・澪が蕎麦屋の店主だった種市に雇われて「つる屋」の料理人となる。そして、次々と上方料理をアレンジした創作料理を作り出していき、「つる屋」は江戸でも評判の店に成長していく。また、その間の彼女の恋の遍歴や幼なじみと友情、常連客や大店の人たちと関係なども描いていくという話である。


これまで、いろいろな時代小説を読んできたが、この本の面白みは単に創作料理を作り出すというだけではなく、風変わりな常連客、吉原にいる幼なじみ、謎の浪人、実直な医者、そして吉原に関わる大店の店主たちとの人情話ではないだろうか。

10巻を読破するのはそれなりの時間と体力が必要だが、江戸時代の料理と市井の人々に興味ある方は是非とも読んでいただきたい。

金曜日, 5月 12, 2017

世論調査という名の思想調査・世論誘導

先日、世論調査の電話がかかってきた。で、その内容を録音したので紹介しよう。なお、一部録音が途切れているところがあり、完璧に再現されているわけではないが、大方は間違ってはいないと思う。

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こちらは世論調査センターです。本日は自動録音による調査で失礼しますが、7月の都議会議員選挙に関する質問をさせていだきます。(※ここまでは録音なしなのであくまでも推測)

最初の質問です。あなたは安倍内閣を支持しますか?支持しませんか?
1・支持する、2・支持しない、3・わからない

あなたは小池百合子東京都知事を支持しますか?支持しませんか?
1・支持する、2・支持しない、3・わからない

あなたは今どの政党を支持されていますか?
0・支持政党なし、1・小池知事率いる都民ファーストの会、2・自民党、3・民進党、4・公明党、5・共産党

あなたは都議会議員選挙(目黒区)で誰に投票しようと思いますか?
1・都民ファーストの会候補者名、2・自民党の候補者名、3・自民党の候補者名、4・公明党の候補者名、5・共産党の候補者名、6・その他、7・まだ決めていない

東京都の築地市場を豊洲に移転する計画について伺いします。現在土壌の安全性などを理由に移転が延期されています。豊洲への移転を今後も目指すべきだと思いますか。豊洲への移転を目指すべきだと思いますか?
1、豊洲移転を目指す、2・やめるべきだ、3・その他・わからない

あなたが都議会議員選挙で投票する際に豊洲問題をどの程度考慮しますか?
1・大いに考慮にする、2・考慮する、3・考慮しない

あなたは都議会議員選挙にどの程度関心がありますか?
1・大いに関心がある、2・関心がある、3・関心がない

最後にあなたのことについてお聞きします。あなたの性別は?
1・男性、2・女性

あなたの年齢は?
1・18〜19歳、2・20代、3・30代、4・40代、5・50代、6・60代、7・70代以上

最後までご協力いただき誠にありがとうございました。

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以上である。

この調査をどこが依頼したものか解らない。この内容からすると都民ファーストの会もしくは自民党だろうか。はたまたマスコミのどこかだろうか。まあ、常識的に考えれば都民ファーストの会であろう。というのも「どの政党を支持?」という質問でわざわざ「小池知事率いる」と言ったり、候補者のトップに都民ファーストの会の候補者をもってきたり、なぜか「支持政党なし」を0番にしていたり、と恣意的かつ誘導的な工作が行われるているからだ。

それにしても、都議会議員選挙の調査というのに、なんで冒頭に「あなたは安倍内閣を支持しますか、しませんか」という設問があるのだろうか。それゆえに、私はこの世論調査は世論誘導的であり思想調査でもあると思っている。電話をかけてきた世論調査センター(050-3085-XXXX)は間違いなくこちらの電話番号を登録している。その上で、性別・年齢を特定しているのだから、その家の誰かはおおよそ見当がつく。これでもしもこの情報が流れようものなら、私は個人情報法保護法違反として当然ながら裁判をする用意がある。

私は以前より世論調査の真偽については疑いをかけているが、今回の電話で世論調査は思想調査であり、かつまた世論誘導であることをはっきりと確認できた。

木曜日, 5月 11, 2017

桂伸三&春風亭一蔵@チェロキー寄席

昨日(10日)は学芸大学「Cherokee LIVE TAVERN」で桂伸三と春風
亭一蔵出演の「チェロキー寄席」を聞いてきた。チェロキー寄席はこれまでは毎月1回で1人の独演会形式だったが、今回から隔月1回で2人出演の2人会形式に。

桂伸三は昨年10月の「チェロキー寄席」で初めて聞いた噺家だが、新作と古典を滑稽かつ滋味に演じて好感。春風亭一蔵は春風亭一朝の弟子で、兄弟子には今売れっ子の春風亭一之輔がいる。

春風亭一蔵 『鷺とり』
桂伸三   『宿屋の仇討』
 〜 仲入り 〜
桂伸三    踊り「かっぽれ」
春風亭一蔵 『阿武松(おうのまつ)』

1席目は「鷺とり」。初めて聞く噺。あまりに仕事がなく鳥取りを生業にしている男が失神させた鷺を腰に何羽を巻いたところ、鷺が一斉に起きて男を空高く連れて行ってしまうという滑稽噺。春風亭一蔵は「趣味はダイエット、特技はリバウンド」というだけはあり、優に100キロは超える巨漢で、汗ダラダラになりながらもユーモラスに伝えていく。

2席目は「宿屋の仇討」。神奈川宿の宿屋で静かに泊まりたい侍と、やたら騒ぎまくる3人の町人、その間を取りもたざわるをえない使用人(客引き)の駆け引きを描く有名な古典落語。桂伸三は侍と客引きのツカミこそ上手く話を持っていくが、3人の町人(源兵衛、清八、喜六)の部分が意外にあっさりだった。それで話のメリハリをつけようとしたのかもしれないが、今回はちょっと裏目に出たような気がする。この人には実力があるので時間をかけてもっとじっくりと話を聞かせてもらいたかった。

余興の「かっぽれ」の後の3席目は「阿武松(おうのまつ)」。これはちょっと秀逸というか白眉。能登の漁村生まれの若者・長吉が相撲取りになるべく武隈文右衛門に入門するも、あまりの大食漢のために破門。そして、郷里に帰る途中の板橋宿で宿屋の主・橘屋善兵衛に拾われて、今度は錣山(しころやま)喜平次に入門。その後はあれよあれよと出世街道を邁進して、前親方である武隈文右衛門と相撲を取ることになるという講談調の噺。春風亭一蔵は、時に田舎気質を思わせるべくおっとりと、時に江戸気質を見せるべくせっかちというか軽妙にと、上手く使い分けながらテンポよく話を進めていく。加えて、一蔵の愛嬌のある巨体がこうした相撲噺をマッチさせていく。彼には土俵上の立会いと同じように落語に対する真摯な姿勢が感じられる。今後の活躍が楽しみな二つ目だ。

さて、次回(7月12日夜8時開演)のチェロキー寄席は柳家ほたる(柳家権太楼一門)と柳亭市弥(柳亭市馬一門)の2人。東横線沿線の皆さん、お時間のある方は是非とも足を運んでみてください。