金曜日, 1月 29, 2016

美食日記「ル・モマン」(都立大学)

都立大学駅より北へ徒歩7〜8分、今は「めぐろ区民キャンパス」という名になったが、ここには1991年年まで東京都立大学あり、またその昔私が通っていた都立大学附属高校(2011年まで存続)があった。そして、その東側通用門前には1946年創業の「旭ベーカリー」というパン屋があり、高校生や学生たちだけでなく地元の人たちにも親しまれていた。しかし、残念ながら2014年に惜しまれつつ閉店してしまった。そのお店の後にできたのが、今回訪れたフランス料理店「ル・モマン」(時間、ひとときなどの意)である。

お店は2015年の4月にオープンにもかかわらず、あっという間にミシュランガイドの1つ星を獲得。というのも、オーナーシェフの浅岡達矢さんはタテルヨシノ芝のシェフを務めていて、2つ星を獲得した立役者と言われた辣腕シェフだからだ。お店はカウンター12席、テーブル6席という作り。テーブル席は個室にもできるようだ。で、いただいたコースメニューは下記の通り。

・食前のお楽しみ
・カブのブランマンジェと手長海老のマリネ
   キャビア添え
・コンソメ・ラビオリ・カルパッチョ
   鹿を様々なスタイルで 〜モマン風〜
・フォラグラのお料理
   チョコートソース
・的鯛のポワレ
   サフラン風味のフヌイユ 季節の温野菜添え
・黒毛和牛フィレ肉のポワレ
   ソース ボンドレーズ
・スパイスと柑橘類でマリネした洋梨の温かいソテー
   グラスキャラメルとココアのシガー添え
・コヒーまたは紅茶
・小菓子・自家製パン

最初の食前のお楽しみ(アミューズ)は、グジェールというチーズを練り込んだシュー生地のパンのようなもの。これを食べていたらなぜか昔アメリカにいた時のバターたっぷりのクロワッサンを思い出してしまった。中はふんわり外はサクサク。こういう食べ物は好物である。

 

2品目は手長海老のマリネが入った魚介のゼリー、カブのブラマンジェ、フヌイユのピュレの上にキャビアがトッピングされている。これはかなり絶妙というか巧妙な取り合わせ。ガラスの器がちょっと高すぎなのが難点だったが、味は言うことのなし。

3品目はイタリアンと中華の合体したフレンチのスープ。メニューにも「〜モマン風〜」と書かれているようにオリジナリティのある一品。鹿の臭みはほとんどなく、ジビエならでは歯ごたえをも楽しむ感じの一皿である。

 

4品目は濾したフォアグラの中にキャビアが入っていて、それをチョコレートで包み、黒トリュフがトッピングされているという世界三大珍味が一緒に食べらるという贅沢な一品。こうなると、それぞれが主張しあって何を食べているか分からなくなりそうだが、キャビアの塩味とフォアグラの脂味はマッチするし、チョコートが全体をうまく融和もしく緩和する役目を果たしている。また、砕かれて散りばめられたピスタチオのポイントが高い。非常に趣があり、興味深い料理だった。

メインの魚料理は的鯛のポワレ(蒸し焼き)。ふっくらした的鯛に甘い香りと苦みのフヌイユのソースがマッチ。いろいろな温野菜の彩りも美味。肉料理もポワレ。茨城県産の牛がめちゃくちゃに柔らかくなって登場。赤ワインの香りが漂うボンドレーズソースは見た目ほど濃厚ではなく、さっぱり感があり、私のような薄味好みには嬉しい。

 

デザートは温かい洋梨、冷たい塩キャラメルのアイス、そして、ココア味のシガーが一緒になって登場。スイーツ好きには溜まらない取り合わせかも。私にはよく分からないが。(苦笑)小菓子はアーモンドの焼き菓子、グレープフルーツの砂糖漬け、きな粉のマシュマロ。

 

料理は申し分ない美味しさだった。またパン屋さんの跡地にできたからというわけではないが、焼きたての自家製パンはとても美味しかった。ただ、難点を挙げれば相方が「もう少し料理の説明が欲しかった」と言うように、パンと一緒に出てくる「オリーブオイルは◯◯産」とか「キャビアは◯◯キャビア」とか「野菜は◯◯農園のもの」と言った食材に関する詳しい言葉が欲しかった。そうでないと、サービスマン or レディとの会話が弾まないし、カルパッチョ、ポワレ、ソテーとか通り一辺倒の説明では面白味がない。料理は食べるだけでなく会話も愉しむものなのだから、特にディナーは。今度は人気のランチにぶらりと訪れてみたいと思う。

ル・モマン
http://www.le-moment.jp/

ル モマンフレンチ / 都立大学駅
 
夜総合点★★★★ 4.4

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