金曜日, 9月 19, 2014

外務省と財界に「おんぶに抱っこ」の安倍政権

安倍首相の外国訪問回数の多さには驚かされる。先日のスリランカとバングラデシュ訪問で、第2次政権発足以降の1年9ヶ月でなんと49カ国に達した。これで5年5カ月という長期政権だった小泉首相の48か国を上回ったのである。そして、おそらく訪問国数は岸田外務大臣を上回っているだろう。

それでは、なぜゆえにここまで安倍首相の外遊が多いかといえば、これは国益のためというよりも、外務省の役人とお抱え財界人のためといっても過言ではないだろう。安倍が外遊する際、常に財界人が何人何十人とお供をしている。彼らの目的はもちろん訪問国に対するセールスや商談である。と同時に安倍政権=自民党への見返りの相談も行っている。先日、経団連が政治献金の復活を宣言したが、それ以外にもこうした外遊の場で闇の献金の相談もされているだろう。

それにしても外務省と安倍の緊密さは尋常ではない。

安倍が集団的自衛権にあれだけ固執していたのは、自分の政治的理念というよりも武器輸出をしたい財界からの要望と外務省からの働きかけも大きかったと思える。というのも、集団的自衛権は外務省の悲願でもあったからだ。

湾岸戦争のとき外務省はアメリカから自衛隊を出すようにしつこく言われた。しかしながら、日本には集団的自衛権は行使しないという憲法があるゆえに、それを盾に拒んだ。しかしながら、その後のアフガニスタン侵攻、イラク戦争と再三再四アメリカから自衛隊を出すように要求された。

こうしたことに業を煮やした外務省は、タカ派というより右派の安倍が総理大臣になったことで、集団的自衛権を勝手に解釈変更させるという手段に出させた。一方で、安倍政権の点数稼ぎとして、外務省は東京オリンピックを誘致させることと拉致問題解決に全力を傾けた。つまり、あの集団的自衛権の憲法の勝手解釈は安倍政権にとって財界とだけではなく、外務省との政治的取り引きなのである。

政治が駆け引きであることはいうまでもない。しかし、今の政治的駆け引きは政党間の駆け引きではなく、以前の自民党と大蔵省の図式と同じように自民党と外務省で行われ、それが政治そのものを左右している。こんなことはマスコミで働いている人ならば周知のことだが、マスコミは何もかかない。拉致問題にしても安倍政権はおそらく外務省はある程度の感触は得ていると思われる。あくまでも推測にすぎないが、拉致被害者の何人かが帰国できるか、日本人妻の帰国を自由にできるかなど一定の約束が外務省と北朝鮮の間でできているのではないだろうか。それぐらいの感触なくしては、安倍首相はあそこまで拉致問題について強気の発言はできないだろう。

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