日曜日, 9月 07, 2014

美食日記「フロリレージュ」(南青山)

東京で予約が最も取りづらいレストランのひとつ、フロリレージュ。2ヶ月先まで予約がびっしり入っていて、あとはホームページにキャンセルの告知が載った時に電話して、チャンスを得られるかどうかという人気のレストランである。というわけで、これまで訪れることはなかった。しかし、今回はラッキーにも3日前に予約をすることができた。(^_^)v

場所は地下鉄銀座線「外苑前」駅から歩いて7〜8分のところのごく普通の住宅マンションの1階にある。店内はさほど広くはなく、2人用テーブルが6つと4〜6人用の個室が1つあるだけと小ぢんまりしている。ということで、サービスマンも男性2人と女性1人の3人だけ。

さて、この日のメニューは下記の通り。

アミューズブーシュ
・ヤングコーンのポレンタ
・四角いグリーンオリーブ
季節の前菜
・緑竹、すもも、黒アワビを卵のソースで
フォアグラの前菜
・フォアグラとヘーゼルナッツのメレンゲ
魚料理
・真魚鰹(マナガツオ)のポワレ イカスミソース&枝豆
肉料理
・鳩のローストと牛蒡の細切り巻き
・鳩の煮込み、そば粉のガレット包み
デザート
・スイカのカクテル
・チョコレートオムレツ
・ほおずきのパートドフリュイ

アミューズブーシュは2品。ポレンタを棒状にしてヤングコーンのなかに再現しているという料理。ポレンタのなかにはヤングコーンだけではなく普通のコーンも混ぜてあって、コーンの食感も楽しめるようしてある。四角いグリーンオリーブはお店の定番のようで、ガラスのお皿もこの料理のために作られているという感じに見受けられた。




続いて前菜の2品。1品目の緑竹、すもも、黒アワビを和えものは、和風・中華風・欧風混在の無国籍 or 多国籍料理っぽく、私のようにどんな料理好きには堪らない。3つの食材を単独でまたアンサンブルして食べるなり、また卵ソースをつけて食べるなりして、自「遊」自「在」な味が楽しめる。う〜ん、料理に国籍も国境がないということを改めて教えてくれた。

2品目のファアグラの前菜は逸品だった。はじめにメレンゲとヘーゼルナッツのお皿が出され、その上に焼きたてのフォグラが置かれる。そして、食べ方はフランス料理としては珍しい口中調味。一口サイズに切ったフォアグラを口へ運び、そのあとにメレンゲを口のなかへ。フォアグラの脂っこさというか重厚さとメレンゲがもつ甘さ、軽さ、儚さなどのさっぱり感が凌ぎ合う料理。その微妙な味わいは白眉。おそらくこの料理はここのスペシャリテなのであろう。

 

魚料理は真魚鰹(マナガツオ)のポワレ。割と淡白なマナガツオとしっかりしたイカスミソース(なかに枝豆が入っている)のコンピネーションは言葉では表現しにくい不思議な味。ただし、食べたあと口の周りが黒くなりますのでご注意を。w

肉料理は2品。鳩のローストは少しレア系の焼き加減だが、非常に柔らかく食べやすい。おもしろかったのが牛蒡の細切り巻き。牛蒡を千切りにして揚げたもので、牛蒡の苦味がほとんどないものの繊維質の味わいは残している。牛蒡にして牛蒡にあらずと言っては牛蒡に失礼だが、ちょっと幻想的な牛蒡であった。2品目のそば粉のガレットは鳩と半熟卵を絡めたものでこれまた美味。

 

デザートは3品だがそれぞれ変わっていた。スイカのカクテルはスイカジュース、シャーベットと果肉、そして、アクセントにキャラメリゼした種が入っている。スイカの種までデザートにするとは手が込んでいる。チョコレートオムレツはその名の通り、オムレツ状になっていて、なかには温かいチョコレートが入っている。ほおずきのパートドフリュイは甘酸っぱく可愛らしい味とでも言おうか・・・。ということで、お菓子好きには堪らないデザート3品ではないだろうか。

これだけの料理を約3時間かけて食べて料金は10,500円というのはかなりのコストパフォーマンスである。常に予約がいっぱいというのも頷ける。それなのに何かもの足りない。サービスだろうか。否。ワインだろうか。否。となると、やはり空間なのだろう。ただ、空間が広がるとこの料金で提供することはできない。ほんの少しでもいいけど料理同様にゆとりがあれば・・・。チャンスがあれば再訪したいレストランである。

【追記】
フロリレージュには数多くの日本のワインがおいてある。ワインリストには私のお気に入りである小布施をはじめ、余市のドメイン・タカヒコ、上山のタケダなど名だたるワイナリーのワインがリストアップされていた。これだけ日本ワインが置かれているレストランは初めて。で、今回はソムリエのおすすめする清里に近い山梨県津金の地にあるボー・ペイサージュ「TSUGANE ラ・モンターニュ(メルロー)」をいただいた。

味は飲んだ瞬間はまろやだが、酸味のキレは鋭く、妙な表現かもしれないが少しスモーキーな香りが残るといった感じで、初めて味わうようなワイン。それゆえに、スイスイと飲むという感じにはならなかったが、一口ずつ噛み締めるように嗜むことができ、改めて日本ワインのレベルの高さを感じとることができた。いつかどこかのレストランで日本ワイン祭をやってくれないかなあ・・・。w

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