金曜日, 2月 13, 2015

美食日記「スモー ブローマン Små Blomman、いつかまた」

人生最大の贅沢な食事をしたかもしれない。

たった2人だけで最高級フランス料理を4時間余にわたって舌つづみをしたのである。場所は昨年4月に訪れた隅田川沿いにある高層マンションのなかにある完全紹介制のプライベート・レストラン「スモー ブローマン Små Blomman」。

メニューは下記の通り。なんとキャビア、フォアグラ、トリュフの世界三大珍味が前菜扱いで登場するという、ある意味究極の“スペシャル・ディナー”。

・ベルギー産オシェトラキャビアと鱒の卵(写真①)
 蕪、レディース大根、ミニリーフ(ナスタチウム)
 イチゴのマリネ

・ずわい蟹のフラン(写真②)
 甘エビ、スナップエンドウ、サラダ菜のクリーム
 カレーオイル風味

・フォワグラのナチュラル 赤ワインの香り(写真③)
 紅玉ピューレ、金柑、ブルーベリーヴィネガー 
 マイクロリーフ

・トリュフ風味のポレンタ(写真④)
 奥久慈卵、フランス産黒トリュフ、マデラソース

・オマールブルーのミキュイ(写真⑤)
 セップソース

・鰆 or 甘鯛のポワレと鱈白子(写真⑥)
 縮みほうれん草、春菊のクーリー
 フィッシュエッセンス

・壱岐産網獲りコルベールのロースト(写真⑦)
 菜花、芽キャベツ、ペコロス、こごみ、赤蕪、空豆
 サルミソース

・ケンジカフェ東京(写真⑧)
 特撰ガトーショコラ
 とちおとめ、洋梨
 バニラアイスクリーム

・食後のお飲物(コーヒー)

1品目からまずキャビアが登場。キャビアは薄く切られマリネされたレディース大根に包まれるかのように、そして私の好きな鱒の卵(フレンチキャビア?)もこれまたマリネされた蕪に包まれるかのようにして盛られてくる。ソースはパッションフルーツベース。ミニリーフ(ナスタチウム)のほんのりとした苦味が、キャビアと鱒の卵の塩味にマッチして、いきなりトレビア〜ンである。

① 

2品目はずわい蟹のフラン。フランとはプリンのように液状にしたものを蒸し上げたという意味らしく、いわばフランス版の茶碗蒸しだ。この料理、上層部はサラダ菜クリームに甘エビしか見えないが、下層部にずわい蟹が潜んでいる。表面にあるオマールコンソメがベースのソースとカレーオイルが混じり合わせるとちょっとエスニックな味になる。一皿に二皿分の料理が凝縮されている感じで相当凝っている。セ タンクロアヤブル!(アンビリーバブル!)

3品目は63.5度で真空調理されたフォアグラ。ドロドロした脂っこいフォアグラ料理ではなく、引き締まった内臓という感じの仕立てで、その上には赤ワイン1本にゲランドの塩を入れ煮詰めてからオーブンで焼いて作るというかなり手のこんだ深紅の塩がかかっている。また、ブルーベリービネガーを煮詰めたソース、赤ワインとりんごのコンポートソースにもぴったりで、そのとき飲んでいた私が好きなカレラ(カリフォルニア産)のピノ・ノワールのにもマッチして言うことなしなしであった。

③ 

4品目は黒トリュフのポレンタ。ポレンタとはトウモロコシを粥状にして煮たものという料理らしい。で、このポレンタのなかに半熟にされた奥久慈卵が隠れている。黒トリュフとトウモロコシが混じりあった味はまさにトロけるような甘みが口のなかに広がり、一瞬絶句状態になるほどのハーモニーで美酒佳肴。マデラーソースの味も見事で、あの食感はしばらくは忘れられないだろう。

 ④ 

5品目はオマール海老のミキュイ。さっきまで生きていたオマールブルーをミディアムぐらいに焼いた料理である。セップソースにはオマール海老の殻で作ったソースも加えられていて、なんとも表現のしようがない独特なテイストだった。カリカリに焼いたパンチェッタ(生ベーコン?)もしっかり脇を固めていた。

⑤ 

ここで箸休めならぬフォーク休めの小休止。前回訪れたときは桜の季節のランチだったので、窓から階下の桜並木や隅田川を航行する船を眺めたりしたが、今回は夜なのでちょっと景色は味気ない。ということで、室内を散策してあちらこちらをパチリパチリ。その間、同行者はシェフの山中賢二さんの料理するのをちょっと邪魔するかのように覗き込んでいるが、山中さんは彼女と料理談義しながら楽しそうに調理している。


ちなみに、ここまでに私はビール、シャンパン、ワイン3〜4杯を戴く。

さて、料理に戻って6品目は魚のポワレ。私は鰆を頼んだが、同行者は甘鯛をチョイス。どうやら彼女は甘鯛の揚げたウロコがお目当てであったようだ。鰆はさっぱり感な味わい、甘鯛はしっとり感の味わいで、どちらも食材の旨味を引き出していて、とても美味であった。


7品目はメインディッシュの長崎県壱岐島で獲れたジビエの真鴨。ジビエということもあり、かなり血の香りがしたたる味だが、食肉用の鴨とはまったく違う食感で、ジビエ好きには堪らない。写真を見ていただければ分かるようにかなりの量だったが、ペロリと食べてしまった。このころになると、2本目のワイン(フランスのコート・ロティエ)も無くなっていて、勧められるがままにブランデーを飲んでいた。w

⑧ 

というわけで、人生最高の超贅沢“スペシャル・ディナー”を完全貸切状態で堪能させていただいた。繰り返しになるが、キャビア(with 鱒の卵)に始まって、ズワイ蟹、フォアグラ、黒トリュフ、オマールブルー(海老)、鰆 or 甘鯛、そしてジビエの真鴨とフランス料理のいいところ取りみたいなコースを、シェフの山中さんならではの手のこんだソースと共に味わうことができ、これぞ至福の極みという感じであった。

最後に残念なことではあるが、このプライベート・レストランは2月いっぱいで閉店する。そして、シェフの山中さんは4月からはシンガポールのオーチャードに出すお店で腕を振るわれる。ということで「スモー ブローマン Små Blomman」ともしばしのお別れである。山中さん、おいしゅうございました。そして、彼の地で活躍されることを願っています。

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