木曜日, 2月 23, 2017

如月の三枚看板 喬太郎 + 文蔵 + 扇辰

昨日(22日)は銀座ブロッサムで開かれた落語会「如月の三枚看板 喬太郎 + 文蔵 + 扇辰」を聞いてきた。出演者と演目は下記の通り。

橘家かな文 『道灌』
橘家文蔵  『ちりとてちん』
柳家喬太郎 『抜けガヴァドン』
 〜 仲入り 〜
入船亭扇辰 『薮入り』

開口一番の 橘家かな文は前座で橘家文蔵の弟子。会場が広いためか客層が定席と少し違うためか、かなり上がった感じというか、観客の反応を掴むことなく一本調子で噺を進めていく。もっともっと場数と雰囲気を学んでいってもらいたい。

開演15分前ホール入口で相方が来るのを待っていると、私の前を汗だくで私服にバックを担いだ橘家文蔵が横切る。その文蔵師匠の枕はなんとパチンコで確変が止まらなくなったのに、後ろ髪を引かれる思いでこちらに駆けつけたと(出番が仲入り後だったら良かったのにねえ w)。その文蔵の演目は朝ドラでも有名になった「ちりとてちん」。かなり脚色を加えてオーバーアクションで噺を進め場内大笑い。これまで何度かこの演目を聞いてきたが、文蔵師匠の「ちりとちん」はもはや「チリトテチン」という趣きの落語であった。

柳家喬太郎の本来の出囃子は「まかしょ」である。それが「ウルトラQ」で登場。それなのに、喬太郎師匠は「古典をやります」と宣言。枕もなく『抜け雀』を演じ始める。ところがいつしか噺が喬太郎ワールドというかウルトラマンの噺に。これには場内唖然というより「待ってました」とばかりに拍手喝采。いまや円谷プロも公認の「ウルトラマン落語」。現代落語の大ヒット作である。ただ、誰か受け継ぐ噺家がいるかという懸念はあるが・・・。w

トリは「奇声を発する2人の後はもうイヤだよ」という入船亭扇辰がきっちりと古典落語を演じる。薮入りで一時帰宅する息子のことを待ちきれない父親の愛情を描く。冒頭の父親が眠れないながらカミさんと交わす会話。朝から落ち着かない父親の姿。そして、帰って来た子供とまともに顔を合わすことができない様子など、どこにでもあっただろう長屋での光景を作りあげる。ただ、いきなり15円と言われても解らない人も多いだろうから、時代背景をもう少しつけ加えた方がいいかもしれない。

タイトルに「如月の三枚看板」とあるが、この3人は落語協会60代の三枚看板である「大吟醸の会」の柳家さん喬 + 柳家権太楼 + 五街道雲助に並ぶ、50代の三枚看板と言っても過言ではないだろう。それにしても、三者三様の落語感を体で表した素晴らしい落語会だった。

補足:ガヴァドンは1966年(昭和41年)10月23日に放送された『ウルトラン』に登場する怪獣。

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