日曜日, 9月 09, 2018

第73回扇辰・喬太郎の会

昨日(8日)は国立演芸場で「第73回扇辰・喬太郎の会」を聞く。入船亭扇辰と柳家喬太郎は同期。落語会には同期の勉強会は数多くあるが、この二人会ほど人気のあるものはなくチケットはいつも即完売。

さて、演目は下記の通り。仲入り後の2席はネタおろし。

柳家寿伴   「金明竹」
入船亭扇辰  「田能久」
柳家喬太郎  「品川心中」
 〜 仲入り 〜
柳家喬太郎  「親子酒」
入船亭扇辰  「江戸の夢」

開口一番の 柳家寿伴は柳家三寿の弟子。柳家三寿は五代目柳家小さんの弟子なのだが、私は一度も聞いたことがない。そして、前座である柳家寿伴も初めて聞くが、彼は年齢もある程度いっているので物怖じしない姿勢と滑舌の良さで前座離れしている。将来楽しみだ。

マクラは藪歯医者の話。「田能久」は芝居好きの久兵衛さんが一座を結成。旅の途中で大蛇の化身である老人とトラブルになるという噺。これまでにこの噺は何度も聞いているが、正直あまり好きになれない。そのせいか、それとも競馬疲れか睡魔に襲われる。

マクラは翌日に控えた謝楽祭のために今日は打ち上げがないという暴露話(ホント?)と、落語監修をしている10月からNHKで始まるドラマ「昭和元禄落語心中」の裏話。いつもながら喬太郎のマクラは楽しい。さて「品川心中」は売れなくなった遊女・お染が貸本屋の金蔵を道連れに自殺をしようという廓噺。この噺、本来はしっとりした古典風の展開で描かれるのが一般的だが、喬太郎ということでどことなく現代風。いいんです。w

「親子酒」は断酒した親子が結局はその禁を破るというお決まりの噺。喬太郎がこのネタを持っていなかったのに少し驚いたが、噺の主軸を親子だけでなく、女将さんと旦那子供にも置いているところが面白い。喬太郎ワールドだ。

「江戸の夢」は劇作家宇野信夫が六代目三遊亭円生のために書いたもの。初演は1967年(昭和42年)11月。もともと歌舞伎の台本だったのでかなりドラマチックな展開。お話は庄屋の武兵衛が江戸見物の折に、婿の藤七に頼まれて浅草のお茶屋・奈良屋にお茶の出来具合を鑑定してきてもらいたい、として訪ねる。そして、藤七と奈良屋の関係が明かされていく・・・。とてもネタおろしとは思えないほど完璧な扇辰の話しぶり。江戸近郊の田舎の光景や江戸の大店の光景が目に浮かぶ。まるで喬太郎の師匠である柳家さん喬のよう。ブラボー!

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