日曜日, 6月 28, 2009

『腕におぼえあり』の原作を読む

『腕におぼえあり』は1992年に村上弘明主演でNHK金曜時代劇として放送された。近藤等則のトランペット音楽と相まって、斬新な新感覚時代劇として評判になった。ただ、私としては村上弘明の相手役だった黒木瞳が妙に艶っぽっかたことを鮮明に記憶している。w

さて、その『腕におぼえあり』の原作は藤沢周平の時代小説『用心棒日月抄』シリーズであり、先週そのシリーズ4巻『用心棒日月抄』『孤剣』『刺客』『凶刃』をすべて読み終えた。

この『用心棒日月抄』シリーズは、最初の3冊は短編連作なのだが、4冊目だけは長編小説となっている。お話は主人公・青江又三郎は密命をおびて北国の小藩から江戸に出るが、その江戸では密命の探索をしながら、生活のために用心棒稼業も行うというものである。

『凶刃』の巻末解説(川本三郎)にも書かれてあるが、青江又三郎の面白さは両義性にある。それは密命と用心棒稼業にということだけではなく、北国の小藩と江戸、武士と浪人、武家生活と長屋生活といった具合に、武家ものと市井ものを硬軟うまく取り混ぜているからである。それゆえに、読者はこの本を読むと、武家もの小説と市井もの小説の両方を、一冊で二つの小説を楽しむような感覚になる。一粒で二度美味しいのである。

そして、この小説を読んで黒木瞳が演じた佐知という忍びの女性がとにかく魅力的であることがよく解った。

0 件のコメント: