火曜日, 6月 08, 2010

京都の町家・秦家を訪ねる(6月4日)

今回の京都への旅の目的は町家めぐりであった。最低でも3〜4軒の町家見学をするつもりでいたが、初日の鞍馬から貴船への山道の疲れとその夜の飲み屋めぐりの疲れのために、結局2軒しか訪問することができなかった。

秦家は江戸時代中頃から昭和61年まで続いた薬屋さんで屋号を「松屋」といい、小児薬「太子山竒應丸」を製造・販売していた。この「太子山竒應丸」は虚弱体質、ひきつけ、嘔乳、夜泣などに効くとされた丸薬で、明治初期の京都売薬番付では堂々大関の地位にあり、相当評判の高い薬であったようだ。

現在の建物は明治2年に再建されたもので、店舗と住居を2つの庭でつなぐ「表造り形式」と言われる町家で、京都市登録有形文化財に指定されている。その家をこの家に嫁いで50年以上になり、現在もお住まいの御婦人に案内していただいた。

訪れたのは6月4日で、本来ならば内装は夏仕様にしているそうだが、今年は比較的気温も穏やかで湿度もあまりないということで、障子に襖という普段と変わらない生活空間を見ることができた。そして、御婦人からは「床下は完全に吹き抜けで、奥庭から外の道が見えますよ。庭には時にはイタチも来るんです」などと楽しいお話をたくさん聞かせていただいた。

家の作りは町家としてはこじんまりしている方だと思うが、町屋のなかに漂う空気は今でも居住空間として使われているので有機質で心地良い。加えて、風通しも良く気持ちがいい。そしてなによりも京の町家の伝統をしっかりと保存して凛とした御婦人が素晴らしい。感謝。

秦家
http://www.hata-ke.jp/

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