水曜日, 2月 02, 2011

心の奥深く刻まれたアジアカップ優勝

日本サッカーは強くなった。本当に成長した。今回のアジアカップの優勝で日本中の誰もがそう思ったに違いない。そして、私にとっては今回の優勝は昨年のワールドカップでカメルーン、デンマークを撃破した以上に心奥深く刻まれた。

古い話で恐縮だが、1968年のメキシコ・オリンピックで日本代表は銅メダルを獲得した。後にも先にもサッカーでメダルを獲得したのはこのときだけである。ただ、この時代のオリンピックはプロ選手の出場は許されておらず、この大会の決勝戦もハンガリー対ブルガリアという共産圏国同士の戦いで、ハンガリーが4対1で優勝した。その前回大会の東京オリンピックでは、当時小学生だった私も観戦した決勝戦でハンガリーとチェコスロバキアが戦い、2対1でハンガリーが勝った。

メキシコ五輪の3位決定戦はよく覚えている。この試合で釜本邦茂は2得点をあげ得点王になった。他にもサイド攻撃を仕掛ける杉山隆一や的確なパスを出していた宮本輝紀や渡辺正、また懸命にゴールを守ったゴールキーパーの横山謙三の名前は忘れられない。そして、日本が2点目のゴールを取ったあとに、メキシコの勝利を確信して集まった観客のなかから「ハポン、ハポン」というヤケのヤンパチのような声援が起きた。これは当時はまだ「ブーイング」がなく、不甲斐ないメキシコ・チームへの怒りでもあった。

それから、28年後の1996年アトランタ・オリンピックで日本サッカーが奇跡を起こした。サッカー王国ブラジルに勝ったのである。この試合、日本のシュートはたったの4本だったのに対して、ブラジルのシュートはなんと28本! それをゴールキーパーの川口能活が神懸かりというか大魔神のように立ちはだかって、雨あられのシュートをことごと止めた。そして、伊東輝悦が上げた得点を守りきって「マイアミの奇跡」と呼ばれる勝利を得た。この試合も決して忘れることはないだろう。

そして、今回のアジアカップ優勝は昨年のワールドカップでベスト16以上に日本に新たなるステップを作らせる勝利だったのではないだろうか。たかがアジアだけの話で世界レベルの話じゃないないじゃないか、と臍曲りなことをいう輩もいるだろう。しかし、優勝するということに意義があるのである。ましてや、完全アウェイ状態で予選と準々決勝を戦い、準決勝では韓国に、決勝ではオーストラリアに勝ったのだからそれは凄いことではないだろうか。

このように、私にとって忘れられない、そして日本サッカーの重要な試合はすべて海外で行われている。やはり、国内でいい成績を残してもそれは内弁慶にすぎず、海外でいい結果を残すことがさらなるステップにつながるのではないだろうか。

アジアのレベルが底上げされているのは周知の事実である。日本、韓国、オーストラリアの代表選手の多くはヨーロッパのクラブでプレイをしている。朴智星や香川真司のようにチームの主力として活躍している選手も少なくない。こうした個々の選手たちが力をつけたことによって、代表チームもみんな強くなっていった。いまや日本、韓国、オーストラリアなどは欧米南米諸国と戦っても遜色はないだろう。

ひところの日本のサッカーといえば、中盤で球回しばかりしていて「オレさまのパスをゴールできないヤツが悪い」みたいな前向きでないサッカーでしかなかった。それがイビチャ・オシムが監督になった以降、創意工夫の攻撃的なサッカーに変わっていった。それを岡田武史が引き継ぎ、南アフリカで芽を出し、そして今回のアルベルト・ザッケローニが蕾まで成長させた。

今回のアジアカップ優勝は、メキシコ五輪での銅メダル獲得、アトランタ五輪の「マイアミの奇跡」と呼ばれる勝利と並ぶほど日本サッカーの偉業のひとつになったのではないだろうか。しかし、このことに浮かれてはいられない。まだ通過点にしかすぎない。日本サッカーよ、常に挑戦者であれ!

0 件のコメント: