火曜日, 7月 31, 2007

宮本文昭指揮の東京都交響楽団

先週の土曜(28日)、ミューザ川崎で開かれている「サマーフェスタカワサキ」の東京都交響楽団の公演に行ってきました。指揮はオーボエ奏者としての生活にピリオドを打ち、指揮者に転身した宮本文昭。この公演は指揮者として6月のJTホールでの管楽アンサンブルに続いて2回目。オーケストラの指揮は初デビューのようだった。ピアノはパリ在住の児玉桃。

演目
モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
ラヴェル/ボレロ

ピアニストから指揮者に転じる人は枚挙にいとまがないが、オーボエ奏者から指揮者に転じた人はあまり聞いたことがない。ただ、“もぎぎ”ことN響首席オーボエ奏者の茂木大輔も指揮を行っているので、ひょっとすると今後は木管金管奏者から指揮者になる人が増えるかもしれない。宮本文昭はその先駆者的存在になるか。

最初は歌劇「魔笛」序曲。宮本文昭は指揮棒を使わない。あるときは両手をピアノを弾いているように、あるときは空手の型を行うように、あるときは社交ダンスをするかのように、少し腰を折り曲げて、体を前後左右に動かしてリズムをとりながら、オケを掌握しようとしている。彼は美しく透明感のある音をオケに求めているように聞こえる。それはどことなく汗をかいたあとに飲む清涼飲料のようだ。しかしがら、その音には私が好きなビールにあるコクやキレが感じられない。もう少しアルコール度がある音が欲しい。(笑)

2曲目はモーツァルト。この23番はモーツァルトのピアノ協奏曲でもっとも有名な作品だが、児玉桃はさりげなく非常にあっさり弾いてしまう。ちょっと拍子抜けだった。

3曲目はお目当てのボレロ。この曲では宮本は自分の感情を思いっきりオケにぶつけていく。あの誰もが知っているメロディをフルート、クラリネット、ファゴットとソロパートが変っていくが、宮本をそれをうまく誘導していく。東京都交響楽団のソリストにはかなりのバラつきがあったが、逆にチェロやコントラバスなどの弦楽器がこうしたバラつきをうまく補っていたのが印象的だった。特にコントラバス陣のしっかりした音程とリズム感は素晴らしく、彼らの力なくしては、最後の高揚を引きだすことはできなかったに違いない。

ボレロでの宮本の指揮ぶりは見事であった。彼の指揮からすると、こうした滑らかでリズミカルな曲が向いているのかもしれない。しかし、彼は長年ドイツに住んでていたのであるから、ベートーヴェンやブラームスといった正統派ドイツ音楽の指揮も聴いてみたいものである。今後の宮本文昭の指揮者生活に注目したい演奏会であった。

宮本文昭公式HP
http://miyamotofumiaki.com/

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