金曜日, 11月 07, 2008

『ロベルト・デヴェリュー』(演奏会形式)

先日(4日)、東京文化会館で行われたウィーン国立歌劇場による『ロベルト・デヴェリュー』(演奏会形式)公演に行ってきた。『ロベルト・デヴェリュー』は1837年にナポリで初演された作品で、作曲はガエターノ・ドニゼッティ。

指揮はフリードリッヒ・ハイダー。この人は主役を演じるプリマドンナのエディタ・グルベローヴァの旦那さん。演奏はウィーン国立歌劇場管弦楽団。コンマスは世界のコンマスともいうべきライナー・キュッヒル。

エリザベッタ:エディタ・グルベローヴァ
ノッティンガム公爵:ロベルト・フロンターリ
サラ:ナディア・クラステヴァ
ロベルト・デヴェリュー:ホセ・ブロス
セシル卿:ペーター・イェロシッツ
グアルティエロ・ローリー卿:甲斐栄次郎
小姓:伊地知宏幸
ノッティンガム公爵の従者:マリオ・ステッラー
合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団(男性38名、女性38名)
合唱指導:トーマス・ラング。
《18時30分開演、21時15分終演》

話のあらすじは、優柔不断な女王に愛人、友人、そしてその夫が翻弄され、最後は誰もが悲劇で終わってしまうという救いようのないお話である。ただ、そこまでの過程は非常にドロドロしていて、まるで浄瑠璃か歌舞伎を観ているようでもあった。

この作品は歌にかなりの比重が置かれているようで、舞台上演形式より演奏会形式の方が魅力的なようである。しかしながらも、出演者はまるで役を演じているかのように、感情豊かに歌い上げる。なかでも、主役を演じたエディタ・グルベローヴァと、まだ若手のようであるサラを演じたナディア・クラステヴァの2人の歌声には本当に聴き惚れてしまった。

グルベローヴァはソプラノとしてはかなりマイルドな声で、ソプラノ特有の尖った感じは全くしない。その分、奥行きのある深みのある声で包容感に満ちている。一方、クラステヴァはジプシーのような情熱的なメゾ・ソプラノの美声で、非常に好対照で楽しませくれた。この2人の女性陣に比べると、ロベルト・デヴェリューを演じたヘセ・ブロスは声にあまりキレや幅が感じられず少し残念であった。

久しぶりのオペラの演奏会形式だったが、東京文化会館がとても優れている音響のホールであることを再認識させられた。


【追記】主演のエディタ・グルベローヴァは11月13日にサントリーホールで、18日に新潟りゅーとぴあ、27日に横浜みなみらいホールでリサイタルを行う。指揮はラフル・ヴァイケルト。演奏は東京交響楽団。

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