月曜日, 11月 10, 2008

何事も良いときもあれば悪いときもある

昨日(9日)、東京文化会館で行われた東京バレエ団によるモーリス・ベジャール追悼特別公演の『くるみ割り人形』を観てきた。

開演してまもなく主役のひとりである猫のフェリプス役のダンサーが足のアクシデントを起こしてしまった。バレエなのだからアクシデントがあるのは仕方がない。しかし、この後が良くなかった。客席の中央にいた関係者が2〜3人席を立ってしまう。こういうアクシデントはあり得ることなのだから、関係者が客席の真ん中で動くなど、アクシデントがあったことを観客に知らせるようなものでいただけない。そもそもこのような場所に関係者が座っていることすら疑問に思う。

急遽、松下裕次が代役となり舞台はつつがなく進んだが、やはりダンサーたちには動揺の色は隠せなかったようで、第一幕の踊りはどれもが小じんまりしていて面白みにかけてしまった。加えて、音響オペレーターの操作の悪さも手伝って、会場はずっとどんよりした曇り空のなかでバレエを観ているような印象だった。

バレエといえば、本来はオーケストラピットにオーケストラがいて上演するものだが、故ベジャールのようにテープを好む演出家もいる。こうした場合は、指揮者ではなく舞台監督、音響オペレーター、照明オペレーターなどのスタッフのセンスと力量が問われる。特に昨日のようにアクシデントがあったときは尚更である。

しかしながら、結局第二幕に入って、チャイコフスキーの名曲が並ぶところでも、残念ながらダンサーたちとスタッフの歯車はなかなか合うことはなかった。舞台セットはシンプルで素晴らしい。照明も素晴らしい。衣装も素晴らしい。しかしながら、ひとつ歯車が狂うと舞台というのはなかなか立て直せない。

何事も良いときもあれば悪いときもある。

唯一の救いは急遽代役で奮闘した松下裕次の踊りだった。高さあるジャンプ。テンポのよいステップ。そして、人を引きつける愛嬌のある仕草。彼はそう遠くないうちに間違いなくトップダンサーになれるだろう。

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