日曜日, 11月 08, 2009

タクシー運転手が悲鳴をあげている

先月30日の日経新聞の報道によると、札幌では最大で3割以上のタクシーの減車が必要と、北海道運輸局が試算を公表した。それによると、9月30日時点で札幌には5296台が登録されているが、最も多く減らす想定では35.1%減の3435台、最低でも13.5%減の4581台が適正台数としている。

札幌ハイヤー協会会長の話ではこの10年間で売り上げは約30%も落ちているので、現状では減車をせざるをえないとのことである。このことは札幌だけでなく全国各地で具体化しはじめている。

タクシーは小泉政権下の2002年に台数の規制がなくなり、新規参入が容易になった。そのために、タクシーの台数は野放し状態になり、東京でも45,000台前後だったタクシーの数が59,964台(平成20年3月末)まで膨れ上がった。このために、以前は運転手1人当たりの年収が342万円(税込み)あったのが、景気後退も重なって、年間100万円以上の減収になっているという。つまりおおよそではあるが、税金のこと考えると以前は手取り25万円あった月収が15万円になってしまったのである。

私はタクシーをかなり利用するが、運転手の誰もが「東京のタクシーは多すぎるよ」と言う。「10,000台は減車しないと、自分たちで自分の首をしめるよ」と口々にする。そして、こうした話をしていると、「大手広告代理店がチケットを廃止した」とか「何処何処の会社が夜10時以降のタクシー券をダメにした」と、悪い話ばかりで悲鳴をあげている。

タクシーの規制緩和は競争意識を高めサービスが向上する、という考えだったが、これはどうやら完全に裏目に出たようであり、もはやサービス向上以前の死活問題となってしまった。タクシーは景気のバロメーターのひとつでもある。ある程度の減車によって見せかけかもしれないが、景気回復への布石を作る必要性があるのではないだろうか。

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