日曜日, 7月 17, 2011

映画『小川の辺』を観る

藤沢周平ファンである。全てとは言わないがほとんどの小説を読んでいる。そして、その映像化(映画&テレビ)されている作品もほとんど観ている。

私にとってこれまで映画化された藤沢作品のベスト3は下記のとおりである。
 たそがれ清兵衛 (監督山田洋次、主演真田広之)
 花のあと (監督中西健二、主演北川景子)
 隠し剣鬼の爪 (監督山田洋次、主演永瀬正敏)

前置きはこれぐらいにして本題である。まずは結論から。映画『小川の辺』は間延びした映画だった。時代劇というのは間が大切である。この間が時代劇特有の緊張感を作り上げていく。ところが、この映画の間はどこもかも1秒ほど長く感じられ間延びしている。これでは緊張感が倦怠感に変わってしまう。

加えて、どうしても東山紀之の演技が好きになれない。彼の所作や殺陣は非常に綺麗で上手い。しかし、妙なナルシシズムを感じてしまい、そこに武士が本来もっているはずであろう無骨さを見いだすことができない。それゆえに、映画を見終えてから他のキャスティングだったら、どうだったのかなぁと想像してしまったりした。堤真一だったらどうだったろうとか、佐々木蔵之介だったらどうだったろうか、などと考えてしまった。

最後に、これまで映画化されている藤沢作品はみんな海坂藩ものばかりで、江戸の市井ものがない。市井ものはチャンバラシーンのような見せ場がないために映画化にしずらいのかもしれないが、江戸情緒や男女の情愛の美しい小説がいくつもある。そろそろそうした作品が映画化されることを願っている。

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