金曜日, 11月 06, 2015

美食日記「エスキス」(銀座)

いつもの相方の誕生日祝で銀座にあるフランス料理店「エスキス」を訪れる。お店は数寄屋橋ソニービルより銀座4丁目側へ1つ先に行った通り、三笠会館の真向かいにあるビル9階にある。「ESqUISSE(エスキス)」とは素描という意味で、シェフが料理を創るときに必ずイラストを描くから店名になったそうである。

店内は白を基調とした飾りっ気ない空間。語弊のある書き方かもしれないが銀座とは思えないほどカジュアルな造り。しかし、お店を支える料理人たちは凄腕揃いのようで、エクゼクティブ・シェフはハイアット・リージェンシー内にある「キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ」のシェフとして腕をふるったリオネル・ベカさん。シェフは恵比寿「モナリザ」や大阪、台北のレストランで活躍した村島輝樹さん。そして、シェフパティエの成田一世さんは内外のロブション系の店でお菓子造りをした経歴を持つ。

さて、この日いただいたメニューは下記の通り。なおワインはその日の料理に合わせてセレクトされる5種類のワインをいただく”ヴァン・ド・ギュスタシオン“を頼む。

・フォアグラと絹さやの洋梨包み
・富士山麓で育った鱒
   〜きゅうり、マッシュルーム、サワークリームと共に〜
・銀杏、長野県産姫リンゴで彩るオマール海老
   〜パブリカのピューレを添えて〜
・瀬戸内海産真魚鰹
   〜ういきょうのソースでさっぱりと青リンゴ、生海苔のチュイルで
・鳥取県産熟成肉を味噌の香りで
   〜旬のお野菜をご一緒に〜
・柿のサフランジェリー
   〜ぶどうのソルベでマールの香り〜
・五所川原産赤りんごと南のフルーツ
   〜ドラゴンフルーツ、パッションフルーツで絵画風仕立てに〜
・ミルフィーユの誕生日ケーキ
   〜いろいろなフルーツをのせて〜
・飲み物と小菓子(マカロン、ヌガー、カヌレなど)

はじめの一杯(乾杯)は木村硝子製のグラスでシャンパンのマルゲ。それに合わせて出てきた1品目はフォアグラが絹さやのちょっとした苦味と洋梨の甘さに溶け合い、軽やかな味わいになってた乙な一皿。出された皿も錫製で、これも乙である。

 

ここでパンとバターと塩が登場。バターはフロマージュブランと発酵バターをホイップしたもの。塩は小皿に"ESqUISSE"の"E"の文字で描かれて出される。塩はオーストラリア産で結晶は大きいがさほど塩っぱくなく控えめ。相方は「これにメープルシロップや果物のソースを添えればスイーツになりそう」と。バターナイフが木製というのは日本を愛するシェフの趣向だろうか。

 

2品目は富士山麓のくぬぎ養鱒場で育ったくぬぎ鱒(富士レインボー)を使った料理。鱒は軽くミディアムレア程度に焼いたもので、それをマッシュルームとブドウの泡ソース、クレソンのクリームソースなどをチョイスしながらいただく。柔らかい食材をに柔らかいソースという取り合わせで、ちょっと日本料理かと思うようなさっぱり感を味わう。

 

3品目はオマール海老。これまた前品同様に銀杏、姫リンゴなど旬な食材と合わせながら楽しむという趣向。パブリカのピューレの味も清々しく美味。

4品目。メインの魚料理は真魚鰹。マナガツオというと西京焼きを思い出してしまうが、こちらは軽くポワレしたものをういきょう(フェンネル?)のソースでいただく。上に乗った青リンゴの酸味、生海苔の甘味も程よく上品で、これまたどことなく和風テイスト。

 

5品目。メインの肉料理は熟成肉。熟成肉は鳥取県産の牛肉を長野県の味噌屋さんの蔵の一角を借りて2〜3週間熟成して作られたもの。おそらく低温調理されていると思うのだが、その柔らかさは尋常でない。エスキスのホームページよると、シェフはフランスでチーズの熟成庫で熟成させると神の域に達するほど素晴らしい熟成になることを勉強したので、チーズの熟成庫の代わりに味噌蔵で熟成させることを思いついたとのこと。大豆やチーズなどの香りが含まれたような肉で、これまで食べた熟成肉では文句なしに一番の美味しさだった。トレヴィアン!

あとはデザートなので左党の私は本来なら書くことを割愛するところだが、これが何もかも美味しく驚嘆の連続だった。1品目の柿のサフランジェリー。何層かに分かれているジェリーにレーズンなど果物が入っていて、デザートというより食前酒のツマミになりそうな感じだった。w

2品目は石塚硝子製(?)の大きな(そして重たそうな)ガラス皿に北の赤りんごと南のフルーツが現代絵画風にデコレーションかつ甘くコラボレーションしている。

 

3品目は誕生日ケーキ。電話でオーダーした時は「8センチぐらいのもの」という応答だったので、簡単なものが出てくるのかと思ったら、どう見ても10センチ以上はあろうかというミルフィーユのケーキ。パイ生地の厚さとカスタードクリームのボリュームに驚き。そして、そのしなやかな甘さとサクサク感は飲兵衛の私でも癖になりそうな美味しさ。その後に出てきた小菓子はマカロン、ヌガー、カヌレなども美味で言うことなし。

最後にお喋りな我々に丁寧に応対してくれたサービスマン(バレエダンサーのようなすらっとしたイケメンくん)に謝礼を言って、同じビルの地下にあるサロンバーの「サロン・ド・エスキス」(写真下)へ席を移した。


全体の感想としては、料理はフレンチなのだがクラシックなソースはほとんど使わず、日本料理を連想させるかのように食材の味を上手に引き出している。そして、デザートはどんな女性をも虜にするような味を持っていると思う。

なお美味しいパンはお店で午前9時半〜11時まで限定発売。また9月24日からは和光アネックスでも発売されている。相方は「絶対に買いに行く」とお気に入りだった。かくいう私もいくつも食べてしまった。w

エスキス
http://www.esquissetokyo.com/

エスキスフレンチ / 銀座駅有楽町駅日比谷駅

夜総合点★★★★ 4.8

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