木曜日, 1月 30, 2014

佐藤治彦の痛快経済学的人生論

知人の経済評論家である佐藤治彦が書いた『年収300万〜700万 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』(扶桑社刊)。佐藤さんとは演劇を通じて20年以上前からの知り合いで、以前は劇場で現在はクラシック音楽のコンサートホールでよくお会いする。その佐藤さんが昨年出版した本である。

タイトルはやけに長いが、中身は非常にシンプルで解りやすい。実用書なのに読後感がとても爽やか。そんなことを言っては失礼だろうか。とにかく痛快なのである。実用書というか経済本となると、とかく節約をしようとか、我慢した生活をしようとか書かれていることが多いが、佐藤さんはそれを真っ向から否定して、とにかく人生1回だけなのだから楽しんで行こうと話を展開する。

第1章は『脱・節約教のススメー節約しても老後は安心ではない!』ここでは節約すると無駄を省くの違いを説明して、節約だけの人生はやめようと説いている。

第2章は『禁・資産運用ーいま始めること、老後に考えればいいこと』ここでは老後のことについて書いているのだが、面白いことは老後のお金の一部は老後になってからも遅くないと説いていることだ。

第3章は『新・消費宣言ー欲望に向き合えばお金が増える』ここではバーゲンでものを買うことは損しているなどと具体的に節約が非効率的であることを書いている。私もバーゲンセールなどで洋服を買うことや福袋を買うことはほとんどない。バーゲンで買った服は確かに安いが、単に安いから買っただけになりがちで着る機会は少なく、非効率的である。それに対して値段は高いが良い服は生地がしっかりしている上に、気にいって買っているのだから何度も着て効率的である。

第4章は『知識の泉へようこそー年金、保険、教育費を考える』ここでは年金、保険、税金などの生活に直結する経済のことが書かれている。ちょっと難しいことが書かれているがとても為になる。ここはしっかり経済学している。

第5章は『ザ・住宅問題ー買うべきか、借りるべきかの神学論争に終止符を』ここでは人生最大の買い物である住宅のことについて書いてあるが、佐藤さんの結論は読んでのお楽しみ。w

ということで、この本は経済評論家である佐藤治彦が生活評論家にもなり、節約(ケチる)ではなく、無駄を削る(省く)生活習慣を身につければいいとか、「対処力」という臨機応変さを身につけてとか、人生を楽しく過ごそうよなどというメッセージを数多く送っている。つまり、この本は佐藤さんの経済学的人生論だ。

年収が300万〜700万の人がいかに人生を楽しく豊かに過ごすかを導く本。30代40代の人にはおすすめの一冊である。

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