水曜日, 1月 08, 2014

円楽・昇太・たい平三人会@めぐろパーシモンホール


昨日(7日)めぐろパーシモンホールで開かれた「〜笑門来福 ブラック団がやってきた!!〜 三遊亭円楽・春風亭昇太・林家たい平 新春三人会」を聞いてきた。出演者と演目は下記の通り。

春風亭昇羊 『たらちね』
林家たい平 『井戸の茶碗』
 〜 仲入り 〜
春風亭昇太 『花筏』
三遊亭円楽 『一文笛』

開口一番の春風亭昇羊は春風亭昇太の弟子。風貌はどことなく理系の学生っぽく、役作りや声のアクセントのつけ方の表現力はまだまだ。だが、この人は滑舌が非常によく声が通る。また、演目のなかに出てくる嫁の長セリフを噛むことなく、満員の観客の前で綺麗に話切ったのは見事。当日会場に偶然居合わせた小学校時代の友人曰く「彼は将来化けるじゃない?」と。ひょっとすると、という期待感は十二分に備えている。

林家たい平を聞くのは2回目。彼は『笑点』でいろいろな人のモノマネをしたりして、世間的ではモノマネ落語家なんて思われているフシがあるが、実は相当な実力の持ち主である。今回の落語会でも彼がもっとも持ち時間が長い上に、『井戸の茶碗』を巧みに現代風アレンジやアドリブも入れたりしながら、観客を十二分に魅了させる噺を聞かせてくれた。昨今の若手落語家(といっても50歳前後)のなかでも、柳家喬太郎や立川談春らと並ぶ実力の持ち主ではないだろうか。今回の落語会のなかでも彼がピカイチの出来であり、できれば彼の独演会を聞きに行ってみたい。

『花筏』は春風亭昇太の十八番の一つである。ところが、この日の昇太は前半の弟子の出来の良さに一安心したせいか、それともたい平のサカナにされすぎたせいか、今ひとつキレがない。噺の途中で「千鳥ケ浜」と「花筏」を取り違えるミスもあったり冴えなかった。それでも、昇太流の大きなアクションで会場を湧かせていた。

『一文笛』は人間国宝・桂米朝が30代のときに造った上方落語で、噺の内容は明治初期のスリにまつわる人情噺。現在は弟子の桂ざこばをはじめ桂きん枝など多くの落語家が演じていて、東京では林家正蔵も演じているという。さて、三遊亭円楽が演じるスリは鯔背(いなせ)な感じの男で噺にスピーディさがあり好演なのだが、子供を貶めてしまい、堅気になるという終盤にもう少し人情味を出してほしかった。サゲ(オチ)は解りきっている噺なので難しいとは思うが、何かもう一工夫ほしかった。

最後に、せっかく三人会なのであるから何処かに鼎談(ていだん)を入れてほしかった。スケジュールのせいで無理なのか、それとも実はブラック団も仲がさほど良くないのだろうか。(笑)ちなみに、この日のパーシモンホールは『笑点』の人気メンバー登場ということで、平日の昼にもかかわらずチケットは1・2階席(658席・429席)共に完売だった。昨年も同様のことを書いたが、パーシモンホールは今後は2〜3ヶ月に1回ぐらいの割合で「柿の木坂寄席」とか「柿の木坂名人会」という催しを開いてはどうだろうか。1階席が満席になるぐらいの落語会ならいくらでも開催できると思うのだが。

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