金曜日, 11月 30, 2007

フィラデルフィア美術館展、一見の価値あり

20代30代にアメリカを旅行したとき、私は数多くの美術館や博物館を訪れた。そのなかでも印象に残っている美術館のひとつがフィラデルフィア美術館である。

映画『ロッキー』の撮影地としても知られているフィラデルフィア美術館だが、その所蔵品は約25万点にも及び、その質もメトロポリタン美術館、ボストン美術館と並ぶアメリカでも屈指の大美術館である。もし、その展示品を全部見て回るとなると、一日以上かかるだろう。

フェラデルフィア美術館は印象派の作品を数多くコレクションしている美術館として有名だが、今回の展覧会も「印象派と20世紀美術」と題している。出展されている作品はマネ、モネ、ドガ、ゴーギャン、ルノワール、ゴッホ、セザンヌといった印象派の傑作がずらりと並び、加えて、ピカソ、マティス、シャガール、ミロ、デュシャンなど20世紀の天才たちの名作も出品されている。その数は油彩画72点(うちヨーロッパ絵画57点、アメリカ絵画15点)、彫刻が5点の計77点で構成されている。

今回展示されている作品のなかでは、ルノワールの「ルグラン嬢の肖像」とピカソの「自画像」「三人の音楽師」の3点に釘付けになった。ルノワールは裸婦画が有名だが、「ルグラン嬢の肖像」は彼がまだ注文肖像画家時代に描いた作品で、その繊細で淡い色彩感覚と筆のタッチには驚かされた。ピカソの「自画像」は大胆にして華麗。若くして自分自身をここまでデフォルメする力量は凄いの一言と言わざるえない。また『三人の音楽師』はフォービズムの傑作のひとつと言われ、秀れたデッサンと滑稽さを見事に融合させていて、見るものをほのぼのとさせてくれる。

この他にも下記の作品に興味を抱いたが、どうしても女性を描いた作品が多くなってしまう。仕方がないことである。(笑)

クールベ:「スペインの女」
マネ:「カルメンに扮したエミリー・アンプルの肖像」
ブーダン:「エトルタの浜辺」
ドガ:「14歳の小さな踊り子」(彫刻)
モネ:「ポプラ並木」
ルノワール:「ルノワール夫人」
デュシャン:「画家の父の肖像」
マティス:「青いドレスの女」
モジリアーニ:「ポーランド女の肖像」
ガーバー:「室内、朝の光」

フィラデルフィア美術館展は上野の東京都美術館で12月24日まで開催中(月曜休み、最終日の月曜のみ開催)。午前9時〜午後5時。入場料は当日一般1500円とちょっとお高いが、一見の価値は十二分にあると思います。

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