水曜日, 12月 08, 2010

「マネーボール」の犠牲者になった岩隈

ポスティングシステムでメジャーリーグ入りを目指していた東北楽天の岩隈久志投手が、独占契約交渉権を落札したオークランド・アスレチックスとの交渉が不成立に終わった。ポスティングシステムで応札があった選手の交渉が成立しなかったのは今回が初めてで、1910万ドル(約15億7500万円)といわれた落札金は楽天に支払われず、岩隈は来シーズンも楽天でプレーすることになった。

私はオークランド・アスレチックスのファンである。1973年以来のファンだから結構年季が入っている(最近はサビも出てきているかもしれない w)。日本で一番最初にアスレチックスのファンサイトを立ち上げたのも私である。

だが、私は現在のアスレチックスのゼネラル・マネージャー(GM)であるビリー・ビーンが好きではない。というより、嫌いと言った方がいいだろう。ビリー・ビーンは「マネーボール」と呼ばれる野球で一世を風靡した球団経営者である。「マネーボール」とは低予算であっても良い成績を残すためにいろいろと考え出された野球理論で、それに共鳴する野球ファンアメリカばかりでなく日本にも非常に多い。それはこの理論にはまると、統計学と経営学を一緒にしたようなゲーム感覚で、まるで自分がGMかオーナー気分なれるからである。

ただ、私はこの理論に興味深い面をもっているが、反対にファン心理を無視していたり、肝心要のプレイオフに弱いとか、問題点も多く共鳴することができない。

そして、今回のビーンの岩隈獲得問題である。そもそも、アスレチックスのような低予算球団が1910万ドルという高額な入札額を出すことから不思議でならなかった。これは明らかにマリナーズやレンジャーズといった他球団への入札を阻止するためのものであり、とても紳士的な行為だと思えない。それでいて、岩隈への提示額は入札額を含めてのものだった、などと脳天気なことを言っていたのである。もし、それが本当ならば経営者失格であるが、敏腕の名で通っているビーンであるから、そのようなことを誰も信じない。

私のようにビリー・ビーンを嫌う人はもちろんアメリカにも多い。ファンとの交流の場にビーンが登場するとブーイングが飛ぶ。今回の岩隈の一件は日本にいるマネーボール=ビリー・ビーン信者に一石を投じたであろう。ビーンは一時を一世を風靡した球団経営者であったが、もはや時代遅れの経営者になった。

というのも、今回の騒動がどうみても昔の読売ジャイアンツと同じように思えてならない。ルール違反しなければ何でもありいう感じだったからである。メジャーにはルールに書かれていない「アンリトンルール」があるが、ビーンはその「アンリトンルール」をどうやら犯してしまったようだ。

ビリー・ビーンよ、早くアスレチックスを去ってくれ。

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